里見香奈女流に何のメリットもなかった棋士編入試験。
第二局に負けた時点で、かすかに残っていたであろうモチベーションも失われたのではないかと思いましたね。だから、三連敗で棋士編入試験は終了するだろうと思っていました。当初から、里美女流五冠が棋士編入試験に否定的な意見もありましたね。渡辺明名人によるコメントが代表的なものだと思いますが、要するに、「何のメリットもない」というニュアンスだったかと思います。多忙である、つまり、対局過多ということですが、仮に棋士編入試験に合格し棋士になったところで女流と両立していくのは難しいということは容易に想像できます。そもそも、女流棋士に編入試験制度を適用するというのもおかしな話で、これは、棋士(女流を含む)でないもののための制度に限定するべきものでしょう。女流棋士に関して言えば、棋士編入試験は、非常に筋が悪いと言えると思います。順位戦は仕方がないとも言えますが、日本将棋連盟は、棋戦のスポンサーとも協議して、女流棋士の棋戦参加のための敷居を若干低くする努力をするべきではないのかとも思いますね。男性中心の棋士制度が制度疲労を起こしている状況は早急に改善しないと、棋界の歪さがこれからますます進行していくことでしょう。特に、奨励会三段リーグに加入できた女性が三人も出ている状況では、今後、ますます女流棋士のレベルが向上していくものと思われます。失礼なことですが、ロートル男性棋士が女流棋士に負けるのも日常茶飯事になっています。また、白玲戦のように、高額な優勝賞金を提供してくれる企業も現れました。今後、平均的女流棋士の対局が、将棋ファンの鑑賞に十分堪え得るレベルに達すれば、男性棋界は危機を迎える可能性も大いにあるでしょう。女流棋界をどのように取り込んでいくか、日本将棋連盟の対応が急がれているような気がします。