関裕二著「天皇家誕生の謎」を読む。
古代史の専門家は、なぜ、この著者のような柔軟な発想ができないのでしょうね?天皇という存在の古代史について、すっきりと納得できる本ですね。日本には、二つのヤマトがあって、それらが融合して天皇を中心とする大和政権が成立したということがこの本の眼目ですね。北九州の地方豪族であった邪馬台国の卑弥呼は、畿内のヤマトをかたり、魏に朝貢したということらしいです。日本のもともとの神は、出雲系であったこと、つまり、古代の最大勢力が出雲敬ということですね。それは、物部・蘇我の系列であり、畿内のヤマトは、九州の東側にまでその勢力を及ぼし、邪馬台国と対していたと述べられています。そのヤマトが諸般の事情により邪馬台国の王を迎い入れ、畿内のヤマトに聯合国家を作り上げていったのだということですが、朝鮮や中国をめぐる政治情勢が影響していたのでしょう。その後の天皇という存在の古代史は、物部・蘇我系統の天皇と百済系統の天皇の闘争の歴史で、そこに百済系の帰化人中臣鎌足を祖とする藤原家が大いに絡んでくるのですね。まあ、万世一系、二千数百年の歴史とか言いますが、そんなものは言ってる連中も信じていないでしょう。もし、本当に信じているとしたら、単なるバカでしょうからね。ただ、そういうフィクションをフィクションと納得したうえで、それにもとづいて国をまとめ上げていくというやり方もありかも知れませんね。大和政権成立以前には、九州の一地方を支配していたにすぎない存在ではあったけれども、天皇の系譜は確かに邪馬台国の系譜につながっているわけですからね。ただ、それが、日本の最大支配勢力ではなく、最大支配勢力は畿内のヤマトの王、出雲系であったということです。しかし、天皇をめぐる古代史は、帰化人も交えてグチャグチャですね。そこが、人間臭くてドロドロしていて面白いのですがね。まあ、今の皇族のごたごたを見るにつけ、どこか、古代の天皇家の歴史とどこか似通っているような感じがしますね。引き続き、関裕二氏の他の著作にも目を通していくつもりです。