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第7官界彷徨

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2016.07.04
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カテゴリ:読書日記

 鉄のゲージツ家こと篠原勝之さんの「骨風」=文藝春秋社、を読みました。表題作は2013年に文学界に発表されたもの。

 室蘭の製鉄会社に勤める主人公の父は、満州で終戦を迎えたらしい。彼は理由もなく主人公に暴力をふるう父だった。あまりの理不尽さに洗面器に顔を突っ込んで窒息自殺しようとするほど。

 17歳の時に彼はその父との決別を決意する。母は「見送れないけど」と言ってお金を下着に縫い込んでくれるのだった。

 その父が危篤の知らせが届く。病院での父の様子、母の様子が回想とともに描かれる。

 彼は、鉄のゲージツ家としての作品を置いたモンゴルの草原に父の遺骨を撒く・・・・そこは風の道であり、草たちが白く枯れた翌年には緑の草原に生まれ変わる場所。

 「矩形と玉」は南伸坊が置いていった猫のGARAとの20年以上の日々とGARAの死。GARAの最後をともに看取ってくれたのは、別れた妻子に気兼ねしてか「オンナ」というかげろうのような人。彼女はオレの書き散らしたものや記録や帳簿をまとめてくれていた人・・・長い小説も早く読み終える能力もある人・・・なのでした。仕事のできる陽炎やね♪

 「花喰い」は映画キャタピラーの若松監督とのこと。キャタピラーの上映挨拶に行った最初の場所は、17歳のときに家出したまま一度も帰らなかった故郷室蘭。脳こうそくの後遺症で血痰を吐きながらの若松考二監督との北海道の旅。

 「鹿が転ぶ」は甲斐駒ケ岳山麓に作業場を持つ。毎年冬が近づく前に作業場を掃除すると、オオムラサキやオニヤンマ、ミイラになったカワセミなど沢山の生き物の死骸がみつかる。その都度彼はアカマツの根元に埋める。珍客今朝男(人間の若い男)も、そこにやってきた。マイペースな人々とのホッとする交流。

 「蠅だまし」は作業場にこもりっきりのある日、ホッタさんという片足義足のお爺さんがやってくる。。ホッタさんはガラクタ発動機のコレクター。「発動機の回転をどこまでスローにできるかというのがこだわり=弾み車に止まった蠅やトンボも気づかないほどの超低速回転=愛好家たちの間では『蠅欺し』といわれているのに命をかけている。オレは、ホッタさんに誘われてその愛好家たちの集会に行く。レンゲ畑の奥に30台ほどの発動機と50人ほどの人が・・・。布団の中で半分溶けて発見されたホッタさんの死。

 「風の玉子」は、頭の毛を剃り上げることからのこれまでのこと。甲斐駒ケ岳山麓にこれといった楽しみはなく、たまに自転車で作業場の前の坂道を走り下ることが唯一の楽しみになっている。そのとき、額に当たった風の一部が後頭部に滑り落ち、うなじのあたりで乱気流を起こし、耳の後ろの玉子一つ分くらいの空間で小さい無数の風の粒粒となって押し合いへし合いしながら音を奏でながらついてくる・・・父のこと、気弱な子どもだった頃の思い出や・・・

 「今日は はればれ」は、父が死に、家出してから一度も会わなかった母が近くに住むことになった・・・母と父のこと、一人になった母は新しい生活に慣れ、あちこちでかけて得意の手芸の材料を買い集めたりしていた。その母がだんだんに気力が無くなり、老人施設に入ることになる。母の荷物を整理していろいろなものを見つける・・・・。その中のノートには家計簿代わりの記述やしばらく間があって天気だけ書いてあったり、それが終わった最後に、

=空白のページを繰り続けると忘れていた押し花みたいに誰にも伝えるでもない一行が現れ、一筋の光の中の塵みたいに舞っていた。 『天気は 晴々 今日は はればれ』= で、この短編は終わっていました。詩的!

 「影踏み」は、三人兄弟の長男である「オレ」、母のために尽くす下の弟、のほかに2番目の中の弟とのこと。オレが故郷を出奔する引き金になったかもしれない、父のドブロクを父の留守に盗み飲みした弟のこと。無頼の弟の行路死を知らされ下の弟とともに母を連れて富士山のふもとの父の眠る墓に納骨する。母はその遺骨が誰なのかもう分かってはいない。

 父を憎みつつ鉄の芸術家になったのは父を追い求めていたのかもしれない。母は手先が器用でミシンや編み針でいろいろなものを作っていた・・・沢山の死が描かれるこの作品だけど、その「死」の前提として死んだ人たちの生きかたが丁寧に描かれている佳作でした。深沢七郎さんとの思い出も感動的。「今日は はればれ」は夫亡き後の母の生き方、なかなか参考になりました♪

クマさんは 『八月がくるたびに』=「理論社」の挿絵も描いているそうです。

 






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最終更新日  2016.07.05 10:19:36
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