カテゴリ:美味しいお店
『 大阪料理 淺井 』 episode 3 の続きです。
調理場の雰囲気に、今まで気をとられていたが… 店内の奥には、テーブル席もあるようだ。 カウンターの他のお客様に目をやると… いい雰囲気である。 センス良く遊び方を知っているという感じの落ち着いたお客様が、ズラ~~っと並んでいる。 会社員風の方 品の良い綺麗な女性を連れた羽織を羽織った旦那衆の方。 「粋な」という表現がぴったりくる。 楽しんでいる。 お客様もお店のスタッフも… 空間がひとつになっている。 『名店は、客が育てる』と言うが… この店にして、このお客さまという感じがまさににピタリとくる。 東京にもあるのだろうか?? 聞いた事が無い…。 割烹の名店の名を口にする人は、ほとんどいない。 寂しい話だと思う。 やはり和は、関西なのか? その奥深い心と技… 幾重にも重なる歴史の歩みが育んだ文化。 何故か、羨ましくもある 三皿目が目の前に置かれた… 「おでんです」 『えっ!? はぁ? お・で・ん?』 なんと! おでんが大阪料理になると… こんなにもお洒落になるのか。 黒っぽい壷の様な器に、これまたお洒落な串にささった『おでん』が3本入っている。 三皿目になって、料理名だけでなく大将が言葉を添えた。 「こちらの3色の味噌を付けて、食べて下さい」 …と言って持ち場へと帰ってゆく。 『いやぁ~!こんなにお洒落な”おでん”は、見たことない…』 絶句! 『クリスマスディナーの閉めに梅茶漬けをお出ししたことがあるけど…。なんと大胆! コースに”おでん”と来たのかや?』 横浜西口5番街の川添いに立ち並ぶ、おばちゃん達がやってる『おでん屋台』は…。 (現在は数件しかないが…) 竹輪が1本まるごと… でぇ~ん! 薩摩揚げが1枚 そのまんま~ 大根の輪切り 厚さ5~8センチが… どか~ん! …って感じ。 どっこい! 晩夏の大阪で”芸術的おでん”に出合ったのだ! しかも、お任せの一品にこのメニューを持ってきたとは… 参った! ぎぶあっぷ! 降参~ ! んん~ 無条件降伏である。 里芋 こんにゃく 大根 おでんの王道ともいえるシンプル極まりない素材のチョイス! 黒胡麻風味の甘味噌…胡麻の風味が前面に出ていて香ばしささえ感じる。 西京味噌…実に上品で甘さを感じる程度におさえている。 芥子味噌…これもたまらない…味噌の味よりも、からしのシャープな辛味を感じる。 なんの変哲もないような素材をここまで高めているとは…。 おでんのだしがこれまた上品! なぜなのだろう~ 不思議な体感を感じてしまう。 この三種の素材を三種の味噌で代わる代わる食すと… 九種類の味が、口の中に広がる。 素朴でいかにも大衆的な”おでん”が、各素材の長所の引き出し方によってここまで味の変化をもたらすとは…。 和の奥深さを初めて知らされたような感覚である。 全部で5皿 そして、プラス”デザート”だった。 すべてが美味しかったのは、言うまでもない。 2品を今現在、残念ながら… おぼろげながらにしか思い出すことが出来ない。 それは、大将の卓越したメニュー選定によるものだと思う。 緩急のつけ方が非常に上手。 すべてにインパクトをつけてしまうと… 人というのは、ただ単に… こんな感じの印象だったなぁ~ …という位にしか印象に残らないものかもしれない。 今日はこれを食べて欲しい。 …と思う前後の料理のアクセントを弱くして。 食べて欲しい料理の印象を強烈に残すようにする。 四皿目は、口直し的な軽めのものだったと思う。 そして、すべてのお料理を大将がサービスしてくれていた。 僕は、ひとり悦楽の世界に入っているが、お店は滅茶苦茶に忙しいのである。 2階3階へ上り下りするお客さま、カウンターだけでも20席以上はあろうかと思う程に長いのだ。 空いている席は、お客様とお客様の間の席を一席ずつ空けてあるという感じで、それぞれのお客様に次々とお皿が運ばれている。 五皿目は、何が来るのかな? でも、でぇ~も… 食べる事に於いては百戦錬磨のつ・も・り。 もう驚かされるのもこれくらいで終わりだろう。 すでに、無条件降伏もして『参った狸』状態。 抵抗するつもりも背伸びをするつもりも全くない。 僕をビックリさせるようなネタはもうないだろう。 ジョエル・ロビュションやフェラン・アドリアだって、洋食界にはいるのだ。 彼らもオッタマゲル様な料理を作るのである。 ほんの少しの間を於いて… 五皿目がやってきた! 大将が静かに僕の前に皿を置く…。 「な・ナ………!」 か、固まった! [ Ctrl, Alt, Del ] みっつのキーを押してくれ!!! 『 大阪料理 淺井 』 episode 5 完結編 に続く… *-*-*-*-*-* Note: この episode 4 を書き上げている途中に情報を入手 楽天のページで「モルデントさん」から貴重なコメントを頂きました。 僕が行った『大阪料理 浅井』は、なんと…支店との事。 えッ? …って感じ。 本店があり… その本店に本物の大将の淺井氏がいるとの事。 2年経った今になって、真実がわかるとは… ^^; 東京で、『大阪料理 浅井』って知ってる? …と、和食の人に聞いても。 「大阪料理ってなんですかぁ?」 …ときたもんだ。 『大阪料理 浅井』のHPアドレスまで入手! 皆さんにホームページを一気に読まれると… ちょっと、現実味をおびてきてしまいますが…。 僕の体験はノンフィクションなので、とりあえず書き進めることにします。
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