日食ブームのさなか、ふと「
太陽はひとりぼっち」という1962年のイタリア映画のことが頭をよぎりました。この映画の原題は "
L'Eclisse" すなわち「日蝕」なのです。主人公を演ずるのはその2年前「太陽がいっぱい」で大ブレークしたアラン・ドロンで、その時と同じアキム兄弟が制作にあたっています。ただし、監督はルネ・クレマンではなく、ミケランジェロ・アントニオーニ。映画の内容はともかく、
主題曲はあくる
1963年にかけて大ヒットし、オールドファンには懐かしい一曲でしょう。
ちなみにその6年前、日本でも「日蝕の夏」という邦画が封切られています。原作はの石原慎太郎現都東京知事。面白いことに、いずれの作品も婚約を解消したばかりの若い女性を中心に物語が進んでいきます。しかも石原慎太郎はその前に「太陽の季節」で一躍時代の寵児になりました。まぶしい太陽のイメージから一転、「日食」という真昼の闇というモチーフも「Plein soleil(太陽がいっぱい)」→「L'Eclisse(日蝕)」という図式とぴったりです。そういえば、当時の日本映画は世界でも注目の的で、「太陽がいっぱい」は
カンヌ映画祭で特別審査員賞を授賞していますが、その前後の
主要授賞作は邦画が目白押しでした。
荒野の7人同様、アントニオーニ監督もちゃっかり石原作品を拝借したのかもしれませんね。
「太陽はひとりぼっち」アラン・ドロン主演 1962年イタリア映画
「太陽がいっぱい」アラン・ドロン主演 1960年フランス映画