テーマ:洋楽(3388)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
移ろいゆくバンド像
ドゥービー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)というバンドの最高の時期と言えば、セカンド作『トゥールーズ・ストリート』(1972年)から、彼らの代表盤とされる『キャプテン・アンド・ミー』(1973年)を経て、『ドゥ―ビー天国』(1974年)に至るころと筆者は確信している。しかし、上記の時期を支えた中心メンバーのトム・ジョンストンは、健康を害してバンドから離脱していく。1975年にはツアーから抜け、1976年の第6作では復帰したものの、1曲だけの提供となった。それに続く本盤『運命の掟(Livin' On The Fault Line)』は、ジョンストンの名がクレジットされた最後のアルバムとなった(曲も準備していたらしいが、最終的にはそれらは含まれなかった)。 これと並行して、1975年のツアーからジョンストンに代わってバンドで存在感を発揮したのはマイケル・マクドナルドだった。スティーリー・ダンのツアー・メンバーだった彼は、第6作『ドゥ―ビー・ストリート』、続く本盤『運命の掟』、さらには次作となった『ミニット・バイ・ミニット』と存在感を見せ、特に『ミニット~』は大ヒットとなった。まさにこの変化していく過程の作品の一つが本盤ということになる。 よく言われるように、この『運命の掟』には、ジャズ的要素や“スティーリー・ダン”っぽさが漂う。かつての野性味に溢れた西海岸サウンドや、カントリー・ロック的なバンド像はもはやそこにはない。前作『ドゥ―ビー・ストリート』の方向性を推し進めて、ポップ・ソウルやR&B色を強め、都会的で洗練された響きが強い。こうした傾向の“マイケル・マクドナルド期”のドゥービー・ブラザーズは、もはや1970年代前半と同じバンドとは言えないほど変わってしまっている。 そのようなわけで、そもそも一つのバンドと見なすから“あちらがよい”“こちらがよい”といった話になるわけで、別のものとして見てもいいのかもしれない。そんな観点に立って言い直すならば、筆者は1970年代後半のドゥ―ビー・ブラザーズも好きである。 注目曲をいくつか挙げておきたい。1.「思いのままに(ユア・メイド・ザット・ウェイ)」は、マイケル・マクドナルドとジェフ・バクスター(マクドナルドの少し前にバンドに合流)という後から加わったメンバーの色がトータルな意味でよく出ている。4.「ユー・ビロング・トゥ・ミー」はマクドナルドとカーリー・サイモンの共作で、シングル・カットされたほかサイモンのヴァージョンがヒットした。 オリジナル・メンバーのパトリック・シモンズのペンによる曲も結構収録されているが、曲そのものは彼らしさ(つまりは以前のドゥ―ビーからの連続性)が見られるものの、“味つけ”は大きく異なるという印象である。例えば、表題曲の5.「運命の掟(リヴィン・オン・ザ・フォールト・ライン)」は、リズムが前面に出ているが、ヴィブラフォンなどの楽器もフィーチャーし、インプロヴィゼーショナルなソロ・プレイが印象に残る。7.「チャイナタウン」も、アレンジと演奏は一気に繊細で都会的な雰囲気になっているという感じ。繰り返しになるが、以前のドゥービー・ブラザーズをいったん忘れて聴いてみると、この路線はこの路線でなかなかいいように思うのだけれど。 [収録曲] 1. You're Made That Way 2. Echoes of Love 3. Little Darling (I Need You) 4. You Belong to Me 5. Livin' on the Fault Line 6. Nothin' But a Heartache 7. Chinatown 8. There's a Light 9. Need a Lady 10. Larry the Logger Two-Step 1977年リリース。 Doobie Brothers ドゥービーブラザーズ / Livin' On The Fault Line: 運命の掟 輸入盤 【CD】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年06月05日 08時25分37秒
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