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2021年10月07日
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テーマ:ニュース(99426)
カテゴリ:ニュース
アメリカ軍基地がフィリピンから全面撤去となって30年経った今日の様子を、9月19日の「しんぶん赤旗」が次のように報道している;


 フィリピン上院が米軍基地存続の条約承認を拒否する決定をした日(1991年9月16日)から今年で30年。米軍基地は翌年全面撤去され、現在までフィリピンは米軍の常時駐留を認めていません。南シナ海で中国と対峙(たいじ)していても「米軍基地撤去は正しかった」と語る人は多く、歴代政権も基地復活の選択はしませんでした。 30年を振り返ります。
<ジャーナリスト・松宮敏樹>


 30年前の9月16日。私は「しんぶん赤旗」マニラ特派員として、上院の議場にいました。

 フィリピンは16世紀以降、スペイン、続いてアメリカの植民地になり、それぞれの軍事基地が置かれました。上院が審議したのは米軍基地をさらに当面10年存続する新基地条約。承認には憲法の規定で上院の3分の2の賛成が必要でした。

 両政府や基地周辺自治体市長などが条約に賛成するよう強い圧力をかけるなか、条約反対議員は信念を貫き、反対12、賛成11で否決したのです。大きな拍手が沸き起こり、喜びが爆発した議場の光景は今も忘れられません。

 議会での最大の論点は「米軍基地なしでやっていけるのか」でした。基地を撤去すれば経済的にも軍事的にも「終末の日がやってくる」というヒステリックに恐怖をあおり立てる説が流されました。

 いま、スービック元米海軍基地やクラーク元米空軍基地は「終末の日」どころか、巨大なショッピングモールや工場が立ち並ぶ活気あふれる街区に姿を変えました。

 私は新型コロナ感染拡大前に両元基地を数回訪れました。かつて米艦船が並んだスービックの埠頭(ふとう)にはクルーズ船など、各国の民間船舶が停泊し、公園では若者が集う姿も。米軍撤退でスービック基地労働者3万5千人が失職しましたが、今ではその約3・6倍、12万6千人の雇用が生まれています。

◆存続派も変化

安全保障でも注目すべき状況が生まれました。

 基地撤去のさいの大統領はフィデル・ラモス氏でした。米陸軍士官学校卒、元国防相という経歴で、大統領就任前は米軍基地存続を求める立場でした。ところが、大統領になって考えが変わりました。98年4月に米国ジヨージタウン大学での講演でこう語りました。

 「今ならいえるが、米軍基地の存続を拒否したことは、比米両国のより健全な関係をうち立てるという有益な結果を生んだ」「米軍基地はもはやフィリピンでは認めない」

 基地撤去が比米関係を従属から対等なものにしたという見解はフィリピンで根付いています。


◆中国の覇権主義にも「外交で解決」努める

 92年以降、フィリピンは米軍基地も米軍地位協定もない状態が続きました。残っていたのは「比米相互防衛条約」(51年調印)と関連協定だけでした。

 そのなかで、問題になってきたのが中国の覇権主義的行動でした。

 中国は95年以降、フィリピンが領有権や排他的経済水域(EEZ)を主張する島しょとその周辺海域で軍事施設などを建設し、支配下におく動きに出ました。

 比政府は、相互防衛条約のもとで米軍との関係を強めるため、「訪問米軍地位協定」(98年)、「防衛協力強化協定」(2014年)を米国と締結しました。ただ、その対象は常時駐留米軍ではなく、「巡回訪問」する部隊、利用できる施設は比側と合意した比軍施設に限定しました。米軍は比軍施設内で軍需物資の事前集積や補給などはできますが、かつてのような「米軍基地」とは違います。

 むしろ地域諸国が恐れるのは米中の軍事衝突です。「米軍基地を置けば戦場になり、第2次大戦をはるかに超える被害を受ける」(ロドリゴ・ドゥテルテ現比大統領)。「東南アジアに米中いずれかの選択を迫らないでほしい」(シンガポールのりー・シェンロン首相)という強い懸念があります。

 フィリピンがもっとも力を入れてきたのは外交です。国連海洋法条約にもとづく仲裁裁判所に提訴し、中国の南シナ海の領有権などの主張に根拠がないとの判決(16年7月)を得ました。そして、ASEAN(東南アジア諸国連合)とともに、中国と、南シナ海での紛争解決の規範をつくる交渉を続けています。


◆反米ではなく主権守る選択 <元上院議員・弁護士、ルネ・サギサグ氏の談話>

 私たちの表決によって、フィリピンは数世紀にわたる外国軍事基地の歴史を終わらせることができた。私たちは皆そのことに誇りを持っている。

 いまわれわれがスービックやクラークを見たとき、大変な進歩を実感する。基地時代よりも雇用は数倍増えた。

 クラークを訪れたとき、近づいてきた人がこう言ってくれた。「あなた方の表決に感謝したい。なぜならいまクラークは、米軍の許可なく、どこでもはいることができる」と。

 われわれの目的は反米ではない。米国が植民地のフィリピンに押し付けた米軍基地と、米国への従属を終わらせることだ。これは独立、主権にかかわる問題だった。

 私は米軍がフィリピンにくることすべてに反対ではない。米軍がフィリピンを助けるというなら、それも理解する。ただ、その場合も、フィリピンの憲法や主権の尊重が前提だ。主権侵害の米軍基地は絶対にノーだ。

 フィリピンは米国とは「相互防衛条約」を結んでいるが、実際の行動は独立した主権国家として、何が国益かを基準に判断すべきだ。

 中国の南シナ海での行動は私も憂慮している。国民は米国が好きだが、中国と戦争はできないし、米中の武力衝突もフィリピンに深刻な被害を与える。

 中国にはASEANと連携してフィリピンの立場をきちんと主張すべきだ。


2021年9月19日 「しんぶん赤旗」日曜版 16ページ 「米軍基地撤去、正しかった-フィリピン」から引用

 米軍基地を撤去してから30年のフィリピンの状況は、日本にとって大変参考になると思います。日本でも沖縄県の米軍基地を撤去すると、沖縄は経済的にやっていけなくなるという「俗説」はよく語られるところですが、経済の専門家の中には精緻な試算を重ねて、米軍基地の存在が沖縄の経済発展を妨げており、基地を撤去すれば現在に比べて遥かに多くの雇用を創出すると論じた文献もかつて報じられたことがありました。日本の米軍基地の場合は、朝鮮戦争などの影響もあり、昔のソ連が武力で勢力範囲を拡大する方針だった時代もあったとか、歴史的背景はありますが、今となっては武力がものを言う時代は終わったことは、アフガンの事態も証明してくれているわけで、「中国の脅威」に対して外交交渉で対応するフィリピンの姿勢は立派です。国家の交戦権を認めないと憲法に明記した日本も、フィリピンの姿勢は大いに参考になると思います。





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最終更新日  2021年10月07日 01時00分05秒


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