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2023年09月14日
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テーマ:ニュース(99511)
カテゴリ:ニュース
辻野弥生著「福田村事件」(五月書房新社)について、ライターの武田砂鉄氏が8月26日の毎日新聞に、次のような書評を書いている;


 関東大震災の発生から9月1日で100年になる。発生直後、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といったデマが撒(ま)かれた結果、多くの朝鮮人が虐殺された。朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典への追悼文送付を見送り続けてきた小池百合子都知事だけではなく、ネット上では、史実を歪(ゆが)めたり、倭小(わいしょう)化したりする動きが目立つ。

 当時、殺されたのは朝鮮人だけではなかった。千葉県福田村で、香川県からやって来た売薬行商人たちが、朝鮮人ではないかとの疑いをかけられ、地元の自警団に殺された。亡くなった9名の中には、2歳の子ども、そして、妊娠中の女性もいた。君が代を歌わされ、イロハ47文字を言っても、讃岐弁の訛(なま)りもあり、多くの野次(やじ)馬からの「誤魔化(ごまか)されたらいかん」「朝鮮人に間違いない」の声に押されるように手を下してしまった。




 『福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇』(辻野弥生著・五月書房新社・2200円)を記したのは、書籍の紹介文に頼れば「歴史好きの平凡な主婦」。文献を調べ上げ、貴重な証言を重ね合わせ、なぜこのようなことが起きたのか、疑念をぶつけながら事件を立体化させていく。

 殺人犯に対し、「350円の見舞い金を戸数割りによって徴収し、支給」、それだけではなく、「村をあげて農作業の援助もしたといわれる」。真っ先に加害者に同情する様子が、当時の空気を知らせる。飛び交った流言蜚語(ひご)に乗っかり、自分たち以外の誰かのせいにする。今でも変わらない。大きな事件が起きる度、SNSには「○○人の仕業では」といった推察が出てくる。

 この事件についての劇映画を作った森達也が、巻末の寄稿で「善良な人が善良な人を殺す」のはなぜなのかと問う。恐ろしいのは忘却。人はすぐに忘れる。忘れると、同じようなことを起こす。

 100年前の出来事を現在に照らし合わせるように読む。直接語る人がいなくなると、歴史は加工されやすくなる。為政者が都合よく編集する。それを避けるために、こうして引っ張り出された事実を直視したい。(ライター)


2023年8月26日 毎日新聞朝刊 13版 15ページ 「今週の本棚-話題の本」から引用

 事件が起きた「千葉県福田村」は、現在は平成の大合併で「千葉県野田市」になっているらしい。「朝鮮人が暴動を起こしている」だの「井戸に毒を入れた」だのというデマの流布には当時の軍や警察の一部も加担したと言われるが、中には「仮に暴動を起こしたとしても、処罰には法的手続きが必要」と考えて、朝鮮人を保護しようと努力した軍人や警察官もいたらしい。しかし、現場の混乱と不安に駆られた群集心理で、朝鮮人だけではなく方言を話す日本人も「自警団」の犠牲になったという「史実」を、私たちは正確に記憶するべきだと思います。しかし、書かれた内容は悲惨で、自警団として方言を話す日本人を殺害した人たちは「殺人犯」として有罪判決を受けたことに対し、福田村の住民はその「殺人犯」たちに「戸数割りで見舞金を徴収して贈呈したり、服役中の農作業を援助したり」という対応をしている。同じ関東大震災のときに、憲兵に逮捕された大杉栄、伊藤野枝、その甥の男児の3名が、裁判もなしにその日のうちに殺害されるという事件もあり、この事件では甘粕正彦が裁判にかけられたのであったが、その裁判が報道されるや、日本中に「減刑嘆願の署名運動」が起こり、伊藤野枝の自宅にもその署名運動の回覧板が回ってきたと、野枝の娘が綴った伝記に書いてあったのを思い出し、そういう「加害者が可哀相」という妙なねじれた感情が、日本人社会にはまだ潜んでいるのではないかという気がします。





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最終更新日  2023年09月14日 01時00分08秒


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