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カテゴリ:ニュース
辻野弥生著「福田村事件」(五月書房新社)について、ライターの武田砂鉄氏が8月26日の毎日新聞に、次のような書評を書いている;
2023年8月26日 毎日新聞朝刊 13版 15ページ 「今週の本棚-話題の本」から引用 事件が起きた「千葉県福田村」は、現在は平成の大合併で「千葉県野田市」になっているらしい。「朝鮮人が暴動を起こしている」だの「井戸に毒を入れた」だのというデマの流布には当時の軍や警察の一部も加担したと言われるが、中には「仮に暴動を起こしたとしても、処罰には法的手続きが必要」と考えて、朝鮮人を保護しようと努力した軍人や警察官もいたらしい。しかし、現場の混乱と不安に駆られた群集心理で、朝鮮人だけではなく方言を話す日本人も「自警団」の犠牲になったという「史実」を、私たちは正確に記憶するべきだと思います。しかし、書かれた内容は悲惨で、自警団として方言を話す日本人を殺害した人たちは「殺人犯」として有罪判決を受けたことに対し、福田村の住民はその「殺人犯」たちに「戸数割りで見舞金を徴収して贈呈したり、服役中の農作業を援助したり」という対応をしている。同じ関東大震災のときに、憲兵に逮捕された大杉栄、伊藤野枝、その甥の男児の3名が、裁判もなしにその日のうちに殺害されるという事件もあり、この事件では甘粕正彦が裁判にかけられたのであったが、その裁判が報道されるや、日本中に「減刑嘆願の署名運動」が起こり、伊藤野枝の自宅にもその署名運動の回覧板が回ってきたと、野枝の娘が綴った伝記に書いてあったのを思い出し、そういう「加害者が可哀相」という妙なねじれた感情が、日本人社会にはまだ潜んでいるのではないかという気がします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年09月14日 01時00分08秒
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