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2024年05月17日
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テーマ:ニュース(99710)
カテゴリ:ニュース
13年前の東日本大震災で炉心がメルトダウンした福島第一原発は、その後の廃炉作業が予定どおりには進んでいない。当事者の東京電力は廃炉作業について、どのような見通しを持っているのか、東京新聞論説委員の飯尾歩氏が東京電力の担当者にインタビューした様子を4月24日付け同紙に掲載している;


 福島第1原発の廃炉に向けた「中長期ロードマップ(工程表)では、燃料デブリ(溶融核燃料)の取り出しに2021年中に着手し、51年までに廃炉を完了するとしています。ところが数硝の試験採取さえ、失敗が続き、先行きは見通せません。果たして廃炉はできるのか。東京電力福島第1原発廃炉推進カンパニーの高橋邦明リスクコミュニケーター(RC)に聞きました。


【飯尾】 デブリの取り出しは、廃炉への長い道のりの「最難関」ですが、事実上の「出発点」と言ってもいいと思います。2号機からの試験採取が3たび延期され、事故発生から13年もたってなお、耳かき1杯分、数グラムの採取ができないような状態ですね。51年の完了は、到底無理だと思うのですが。

【高橋】 われわれとしては、口ボットやドローンを炉内に入れて、情報の蓄積や解析を続けています。蓄積された映像などからデブリの形状や分布状況が、これまでの作業の際に付いた口ボットなどへの付着物からデブリの性状、放射線の強さなどが、徐々にではありますが、明らかになりつつあり、どんな口ボットをどう使って、どこをどう攻めればいいかが、絞られてきています。蓄積された情報に基づいてロボットの調整や製作も進めています。デブリの取り出しに関しては、具体策が見えつつあると言ってもいいと思います。

【飯尾】 現時点では、「中長期ロードマップ」の見直しは必要ないと。

【高橋】 ロードマップというのは政府が定め、改定するかどうかも政府が決めることなので、われわれは現場で得た情報を逐次報告する立場にしかないですが、試験的な取り出しの遅れによって、緊急的に見直すことはないと考えます。

【飯尾】 政府も東電も、たまり続ける汚染水を処理して海に流すことが「廃炉のために避けて通れない」と強調し、漁業者らの強い反対を押し切って、海洋放出に踏み切りました。放出が始まったことにより、廃炉作業はどのように加速するのでしようか。

【高橋】 デブリの処理を効率的に進めていくには、さまざまな関連施設を建設する必要があります。そのためには、汚染水のタンクを解体し、スペースをつくらなければなりません。とりあえず、デブリを処理するための環境整備が加速します。

【飯尾】 一時的な保管施設や作業ロボットの基地などが必要になるのでしょうが、いつから建設が始まりますか。

【高橋】 すぐにも始めたいところではありますが、タンクの解体作業には、まだ着手できておりません。本年度の後半ぐらいには取りかかる計画です。

【飯尾】 汚染水の発生は止められますか。

【高橋】 地下水をくみ上げ、遮水壁で囲むなどして、汚染水の発生量は、事故当初の日量約600トンから90トン程度に減っていますが、デブリを取り出さない限り、冷却のための注水が必要なので、なかなかゼロにはできません。

【飯尾】 やはり、デブリがかぎですか。汚染水といえば、汚染水をALPS(多核種除去設備)で処理する際にこしとられて残る汚泥状の高濃度放射性廃棄物の保管と処分が、このところ問題になっていますよね。今後、デブリの取り出しや原子炉の解体作業などが進むに連れて、さまざまな性状を持つ膨大な”核のごみ”が排出されることになるはずです。使用済み核燃料の中間貯蔵施設や最終処分場の建設をめぐって各地でトラブルが起きる中、最終的な受け入れ先はあるのでしょうか。処理水のように海に流してしまうわけにも、いかないでしょうし・・・。

【高橋】 現時点では一般に、まずは発電所の中で管理して、最終処分はその後ということになりますが、大型廃棄物の保管庫や、かさを減らす焼却設備を設置して、保管、処理を進めており、28年度中に瓦礫などの屋外一時保管の解消を目指しているところです。

【飯尾】 今後どれだけ”ごみ”が出るかによって、保管場所など必要な施設の規模や性能、最終処分の方法も変わってくるはずです。焼却処理が追い付かないと、汚染水のタンク同様、廃炉作業の妨げにもなりかねません。発生量の見積もりはされていますか。

【高橋】 具体的にどれだけという試算は、今のところ立てておりません。


◆「やらなければならないこと」

【飯尾】 廃棄物対策一つ取っても、道のりははるかに遠く、「ロードマップの達成は不可能」「廃炉の最終形が見えない」などという声も高まっています。どの時点で、何をもって「廃炉の完了」となるのでしょうか。これもやはり、政府が決めることなのですか。

【高橋】 このような大事故の後始末をどうするか。原発の敷地が最終的にどうなるか。世界的に前例がないことだけに、今の段階では、われわれにも思い描くことができません。福島の復興という観点からも、政府と弊社だけでなく、みなさんと相談しながら、決めていくべきことだと思っています。

【飯尾】 分厚い放射線のとばりの中で、歴史上例のない手探りの作業。それがいかに大変なことであるかは理解できるものの、残念ながら、実際の廃炉作業に関しては長く足踏み状態が続いているという印象はぬぐえません。あらためて今後の展望について聞かせてください。

【高橋】 当初の予定から遅れているのは確かです。そのような印象を持たれても、仕方がないとは思います。しかし、廃棄物の管理や汚染水対策など、「本丸」であるデブリの攻略に向けての環境整備は進んでおり、後戻りはしていないのも事実です。ロボットが思うように動かなかったり、原子炉の土台部分が損傷していたり、予期せぬトラブルも発生しています。これからも起きてくるでしょう。しかし、次の工程に影響が出ないよう、一つ一つきっちり対処した上で、スケジュールにとらわれず、新たな知見を取り入れながら、一歩一歩着実に、安全に、前に進んでいかなければならないと思っています。

【飯尾】 先日、政府の原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)から、30年代に、3号機で始める予定の本格的なデブリの取り出し作業に向けて、空気に触れた状態のデブリに水をかけながらロボットアームを使って取り出す「気中工法」を軸に、デブリを固めてから取り出す「充填固化工法」の併用が提案されました。この案で現状が打開できるかどうかはさておき、最後にうかがいます。福島第1原発は、本当に廃炉にできますか。

【高橋】 いずれにしても、実行するのは現場。われわれ現場の責任です。やれるかやれないかという問題ではなく、福島の復興と発展のためにも、やらなければならないことだと思っています。


★解説★
 メルトダウンした福島第1原発1~3号機には、溶け落ちた核燃料などが固まった高線量の燃料デブリが、880トン堆積すると推定されている。政府と東電が掲げる「中長期ロードマップ」によると、2021年中に2号機で耳かき1杯分の試験取り出しに着手。その後段階的に規模を拡大するとしているが、着手できていないまま計画から3年経過している。


<たかはし・くにあき> 1993年、東京電力入社。2011年から福島第1原発の使用済み燃料プールや原子炉冷却設備の設置を担当。16年、福島本部復興推進室のリスクコミュニケーター(RC)、18年、立地地域部のRCを経て、23年7月から現職。廃炉の現状を広く伝える役割を袒う。


2024年4月24日 東京新聞朝刊 12ページ 「デブリ攻略 道のりはるか」から引用

 原発事故は自動車事故などとは比べようもない大規模な事故で、しかも放射線被害という普段経験することのないやっかいな「災害」であるという位にしか、素人には理解ができていないのだが、政府と東京電力が昨年だったか、これまで地上に保管してきたALPS処理水をいきなり「海洋放出」すると言い出したときは、我々は単に「地上に保管するスペースがなくなったから海に流すのだろう」と思ったものですが、上のインタビュー記事を読むと、どうやらメルトダウンした炉心から取り出す「デブリ」等の高線量放射性廃棄物を保管するスペースを確保する目的だったらしいことが分かります。しかし、この記事から感じられるのは、当初の予定からは遅れているし、いつ頃からデブリの取り出し作業が始められるか、見通しもまだ立たない状況ではあるが、「しかし、やらなければならないのだ」という精神論だけで、今は頑張ってます、というような大変心もとない事態であることをひしひしと感じました。





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最終更新日  2024年05月17日 01時00分08秒


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