カテゴリ:読書感想
「山眠る」「走り来るもの」「朝霧」の3篇 今回も「私」の成長とともに本好きにはたまらないフレーズが散りばめられて、あきさせない。特に「私」が「みさき書房」に就職出来て編集員におなりになるなんざ、ほんにうらやましい。本のおいしい話題が続くであろうことは予想通り。 ヒロイン「私」はまだ恋愛には遠く、恋の予感で終わっているのがせつない。 話は飛ぶが「風とともに去りぬ」の終わりで「明日のことは明日考えよう、きっと取り戻せる!」と失った悲しみに耐える言葉で結ばれていた。読者はスカーレットの明日を信じ思い巡らすことが出来た。それはマーガレット・ミッチェルが続編を書かなかったからだ。 ところがアレクサンドラ・リプリーという人が続編「スカーレット」を書いてしまった。興味津々で読んでしまってから言うのは卑怯だけれど、おおいにがっかりしたのだった。 だからいうのではないけれど、知りたくてでも知るのは惜しいくらいの余韻がいいのではないか。 リドル・ストーリー(起承転結の《結》を示さず、結末を読者にゆだねる)という言葉と意味を「走り来るもの」で教えてもらったが、このシリーズもそうではないかと…。 これで「私」と「円紫師匠」シリーズもしばらく読めないだろう。もしかしてもう続かないかもしれない、私はそんなふうに感じた。 読者がそれぞれに深いものにし、読み手によってそれぞれの本を楽しむのが良い、と作者も語っている。 でも、もちろんお書きになったら臆面もなく一番に読ませていただく。 このシリーズの感想 「空飛ぶ馬」 「夜の蝉」 「秋の花」 「六の宮の姫君」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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