カテゴリ:読書メモ
『告訴せず』松本清張
小さな駅の駅前食堂、きっとどこでも 何を注文してもいまひとつ、こうもおいしくないのかな~ いい場所なのに、褪めた暖簾、埃の積もったような盛り付け見本 そしてやるきのなさそうな(失礼)おかみさん、亭主 そんなしがない駅前大衆食堂の亭主が主人公の男木谷省吾46歳 その地方の国会議員の義弟(妻の妹の夫)に出してもらった店 義弟に頭があがらないので、選挙でもいいように使い走りさせられ 食堂経営も妻の言いなり、ことあるごとにあなどられ小さくなっている 「愚直なのだ。それだから女房にばかにされてきている。大井(義弟)は口先では兄貴、兄貴と言っているが、自分の小使いとしか思っていない。大井の妻も、兄さんとは言っているが、便利屋か下男ぐらいにしか考えていない。春子(妻)はその妹の真似をして、亭主を顎で指図し、亭主が何か言えば鼻の先であしらっていた。」(本文より) がんじがらめの屈辱的状況を脱出しようと手を出した「悪」は 選挙資金の不透明な金三千万円の持ち逃げ、家出 逃避行の末、哀れな結末と思いきや、意外!小豆相場で大儲けして金持ちになる が...そうはならないのが松本清張 と、おもしろく読んだのだが 現状から「逃げ出す」ということ、人間 いつの時代も、どのような場面でも魅力がある変化ですな 「逃げ出す」と言っていけなければ「方向転換」「前向きの努力」 しかし、思い通りにならないのが人生 この小説にも占い、神頼みの描写が入っているが そんなものでも頼りにしなければならない、はかない人生よ~~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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