カテゴリ:読書メモ
どこへも行けない昨今、文字の旅行という趣向で読みました。
著者も言っていらっしゃいますが、美麗写真の一枚もなく、犬養さんの色鉛筆画(とても上手)と、ほんとに文字ばかりの素晴らしく峻厳なアルプスの描写・旅行案内・スイスの国の歴史を400ページ近く、微に入り細を穿つように書き綴ってあるのです。 犬養さんが恋した「スイス」、アルプスが美しいばかりじゃない、なるべくしてなった強靭な国のかたちを冷静に分析し、またそのことからの人の生き方暮らし方を解いてくれます。まさに犬養節の炸裂です。 さて、「プロローグ」を読み「ブリークの宿」という気持ち和むエピソードがあり、始まった本編「西南の谷」 フランスから、スイス・アルプスに入る最も早く且つ快適な列車ルートのひとつは、パリ・リヨン駅発ディジョン経由ヴァロルブ(国境税関駅)を過ぎローザンヌに降り、湖畔づたいにフランス・シャモニイ行き電車の出るマルティーニを通りさらにスイス・ヴァレイ州首都シオンからツェルマットの基地ブリークに至る、ヴェニス・ミラノ行きヨーロッパ特急(TEE)「シスアルピン」利用のそれである。 観光ツアーの「インターラーケン、ユングフラウ」しか知らないわたしには、パリ・リヨン駅とかローザンヌはともかく、ヴァロルブ、マルティーニ、シオン、ブリークなど、「どこ?どこ?」と地図と首っ引きになりましたね。 ![]() そう、地図帳がなけりゃ文章だけでは何が何やらわからない、よくある簡単地図も添付してないのだから。(必要最小限のスイスの産物や大まかな地形図はあるが)しかし、それが著者のいいたいこと「自分で地図を読め」なのです。つまり、永世中立国というスイスの成り立ちを知るには、自律を身にもって解れということ。読み終わると「しっかりしなきゃ」と背筋が伸びるのであります。 ま、旅行にいけないから代わりに読んだつもりが、永世中立国スイスの歴史的な地理を学んでしまったと思い知るのです。文字の旅行案内、しかも高級版だったのです。 こんなにスイスが詳しく頭に入ったのに行けないなんて! ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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犬養道子先生(笑)を、忘れていました
少々、上から目線でお説教的な物言いではあるものの さすがの教養と国際性 当時としては、目からうろこ的読書体験もありました 私としては、もっともっと評価されてしかるべき人だった そう感じますが、その先進性が十分に理解され中田面もあるかも なんだか、久しぶりに再読してみたいし 著書は、膨大ですね 今でも読みたいと思わせるものがいっぱい 失礼して ウィキによれば 著書 『お嬢さん放浪記』文藝春秋新社 のち中公文庫(1958年) 『世界のトップ・レディ』中央公論社 1960年 『あなたは間違っている』新潮社 1962年 『暮しの中の日本探検』中央公論社 1963年 『女が外に出るとき 暮しの設計』中央公論社 1964年 のち文庫 『犬養道子随想集 初めに終りを思う』河出書房新社 1964年 『私のアメリカ』新潮社 1966年 『聖書物語』寺島竜一絵 少年少女世界の文学 河出書房 1967年 『マーチン街日記』河出書房 1967年 のち中公文庫 『旧約聖書物語』新潮社 1969年 『花々と星々と』中央公論社 1970年 のち文庫 『私のヨーロッパ』新潮選書 1972年 『ラインの河辺 ドイツ便り』中央公論社 1973年 のち文庫 『西欧の顔を求めて』文藝春秋 1974年 のち文庫 『男対女』中央公論社 1975年 のち文庫 『セーヌ左岸で パリ便り』中央公論社 1975年 のち文庫 『新約聖書物語』新潮社 1976年 のち文庫 『ある歴史の娘 花々と星々と 第2部』中央公論社 1977年 のち文庫 『今日は明日の前の日』中央公論社 1977年 のち文庫 『アメリカン・アメリカ』文藝春秋 1978年 『幸福のリアリズム』中央公論社 1980年 のち文庫 『聖書の天地』新潮社 1981年 『フリブール日記』中央公論社 1981年 「フリブール日記 世界の痛苦を見つめる」文庫 『私のスイス』中央公論社 1982年 のち文庫 『アウトサイダーからの手紙』中央公論社 1983年 のち文庫 『人間の大地』中央公論社 1983年 のち文庫 - アフリカの飢餓などを描いたもので、この印税などを元に難民の子どもの教育などを支援する基金を発足[1]。 『生ける石・信徒神学』南窓社 1984年 『聖書のことば』新潮社 1986年 『難民・終りなき苦悩 共存の未来へ グラフィック・レポート』小林正典写真 岩波書店 1986年 『日本人が外に出るとき』中央公論社 1986年 のち文庫 『飢餓と難民 援助とは何か』岩波ブックレット 1988年 『国境線上で考える』岩波書店 1988年 『渇く大地 人間の大地第2部』中央公論社 1989年 『個人と国と国際と』岩波ブックレット 1990年 『和解への人 教皇ヨハネ二十三世小伝』岩波ブックレット 1990年 『女性への十七の手紙』中央公論社 1991年 のち文庫 『ヨーロッパの心』岩波新書 1991年 『世界の現場から』中央公論社 1993年 『天と地とのシンフォニイ』新潮社 1993年 『聖書を旅する』全10巻[1] 中央公論社 1995年 - 2003年[1] 『一億の地雷ひとりの私』岩波書店 1996年 『犬養道子自選集』全7巻 岩波書店 1998年 『あなたに今できること 犬養道子、若き女性に語る』中央公論新社 2001年 『未来からの過去』岩波書店 2001年 『本 起源と役割をさぐる』岩波ジュニア新書 2004年 『こころの座標軸』婦人之友社 2006年 『歴史随想パッチワーク』中央公論新社 2008年 共著 『カンヴァス日本の名画 21 岸田劉生』富山秀男共著 中央公論社 1984年 『ひとはどう生き、どう死ぬのか』日野原重明共著 岩波書店 1997年 翻訳 ピエール・シヤルル『聖霊の小径』エンデルレ書店 1948年 レオン・ユリス『エクソダス 栄光への脱出』河出書房新社 1961年 (2021年08月05日 11時47分47秒)
スイスって、悪く言えば、山間の田舎
欧州のテレビでスイス人と言えば 独特の民族衣装をまとった田舎者的な描かれ方をしていて(笑) 国民性は、悪く言えば(笑)、排他的 ユグノー戦争でフランスから逃れてきたユグノー教徒(新教徒)が スイスに、時計産業と金融産業をもたらしました この本を読んでいないので なぜ犬養道子さんがスイスにほれ込んだのか? 風景だけではないはずで(笑) スイスのドイツ語は、かなり方言なようで 昔、東独とのプラント商談の打ち合わせで スイス留学経験のあるある日本メーカーの技術者がしゃべると すぐそれとわかるらしくて 東独側から「お前、スイスなまりだな」と笑われていました 東独は、西独の南のバイエルン・ドイツ語とも違う 正統なドイツ語ですのでなおさら (2021年08月05日 12時05分01秒)
alex99さんへ
著書が網羅されている~! わたしもかなり(十数冊)読んでいます 『花々と星々と』は 祖父犬養毅の思い出も含めて歴史的なことは何も知らなかった小さかった少女時代が病気がちながらどんなに心の豊かさ与えられ、やきらめきがあったかを描き、そして5.15事件が起こり大人になって行く自伝的小説で感動し 『ある歴史の娘 花々と星々と 第2部』で 大人の女性になって精神的のも自立していく精神の遍歴の文章にますます感動したのでした シモーヌ・ボーヴォアールの「娘時代」「女ざかり」に比されましたね 確かにお説教めいたところもありますが、わたしは好きですよ まだ読んでいない『フリブール日記』を読みたい 『私のスイス』をお書きになる原点ですからね (2021年08月05日 12時53分24秒)
alex99さんへ
>スイスって、悪く言えば、山間の田舎 欧州のテレビでスイス人と言えば 独特の民族衣装をまとった田舎者的な描かれ方をしていて(笑) 国民性は、悪く言えば(笑)、排他的 まさにそこ!がものすごく詳しく書かれているので・・・ 犬養さんもかなりてこずってますけどね 闘志が沸いたのか!? 仕事も調節し、むしろそのためにドイツやフランスで働いて、年に何回も、しかも10年も通って、ですからね もちろん神々しいばかりのアルプスに惚れてのことですが 国境を4か国で囲まれたヨーロッパの真ん中の国で スイスなまりのフランス語、ドイツ語、イタリヤ語そしてロマンシュ語 4つの公用語の国で 山と谷と氷しかない国の、資源無しの国の どうして永世中立国になったかがとても詳しく・・・ 「スイスのことはわたしに聞いてください」 ぐらいまで詳しくなりましたよ (笑) (2021年08月05日 13時17分52秒) |
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