カテゴリ:読書メモ
子供のころ読んだいわゆる少女向きの小説はわたくしの「読書趣味」の原点であるし、いまだにその「少女小説」たちを読み返したい。でも、この年齢になってもそんなのは恥ずかしいのではないかと思ってもいるので、「ああ、それでもいいんだ」と認めてもらったようなのが、この斎藤美奈子さんの「少女小説」考察「あの名作には何が書かれていたのかー!?」です。
取り上げてある「少女小説」は 『小公女』『若草物語』『ハイジ』『赤毛のアン』『あしながおじさん』『秘密の花園』『大草原の小さな家』『二人のロッテ』『長くつ下のピッピ』 はい全部読んでおります(という自慢?はさておき)わたしが魅力に取りつかれていたのは「こんなわけもあったのか」という示唆ですっきりしました。深く読む、一歩引いて見る、諧謔的な、皮肉な見方をしてみる、その小説の時代を見てみる、これこそ読書究極の魅力ですね。 9章のタイトルは 魔法使いと決別すること バーネット『小公女』 男の子になりたいと思うこと オルコット『若草物語』 資本主義で生きること シュピール『ハイジ』 女の子らしさを肯定すること モンゴメリ『赤毛のアン』 自分の部屋を持つこと ウェブスター『あしながおじさん』 健康を取り戻すこと バーネット『秘密の花園』 制約を乗り越えること ワイルダー『大草原の小さな家』 冒険に踏み出すこと ケストナー『二人のロッテ』 常識を逸脱すること リンドグレーン『長くつ下のピッピ』 ちょっと意表をつかれますし、何が何だかわからないでしょうけどね。 そして結論はこのように結んであります。 シンデレラ物語を脱構築する 『小公女』 異性愛至上主義に抵抗する 『若草物語』 出稼ぎ少女に希望を与える 『ハイジ』 生存をかけた就活小説だった 『赤毛のアン』 初回改革の意思を秘めた 『あしながおじさん』 肉体労働を通じて少女が少年を救う 『秘密の花園』 父母の抑圧をラストで破る 『大草原の小さな家』 正攻法の冒険小説だった 『二人のロッテ』 世界一強い女の子の孤独を描いた 『長くつ下のピッピ』 なんて現代的!考察を読むとおもしろくわかります。いつもながら斎藤さんの読み解きはユニーク、なかなかのもの。そうです、大人にも読み耐えられる小説たちだったのですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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