折 り 鶴 を あ げ た 男
少年の優しさに心から惚れた
母が「今からおばさんの入院してる
病院に行ってくるからね
最後の入院見舞いだと思うけど」
母が病院に行くと知って息子は
「ちょっとまってー」と声をあげた
「折り鶴折ってくるからもっていつてよ」
中学1年の息子が鶴を折るって!!
しばらくして小さな箱に入った二羽の
折り鶴をもった息子が現れて
「おかあさん !! この折り鶴を
おばさんにあげてよ」
「早く良くなってほしい僕の気持ちです
もっと小さな折り鶴だって折れるよ」
「まあよくもこんな小さな折り鶴を
よく作ったねえ これより小さいって
1センチしかないのに・・・」
「おばあさんもきっと喜ぶわ」
花屋で花を買って病院にいき息子の
折り鶴を妹に渡すとありがとう!!
いい子に育ってあんたは幸せねえ
ありがとう うれしいわ」
妹は喜んでベッドの横の机に
箱に入った折り鶴を置いた
それからの妹は一進一退を
繰り返していたが病魔に負けて
ある日ついに力つき死亡した
そして通夜の晩に棺の中の妹に
対面したとき息子が折った鶴も
死顔の傍に入れられていた
「誰が折った鶴なの?」
「これは私の息子が折った鶴です」
通夜に来られた人はその気持ちに
胸をうたれ悲しみをさらに深くした
妹は二羽の折り鶴とともに安らかな
安堵の顔をして眠っている
生きぬいた美しい顔でみなさん
生前はありがとうございました
そう言っているようだった
涙があふれて止まらなかった
折り鶴を送った息子の優しさが
胸にしみた