カテゴリ:絶対存在論
神の存否-76
スピノザは執筆活動の内容が漏洩し、オランダの宗教勢力にレンジ公に神への冒涜の故を以って訴えられ、スピノザ思想に近似したデカルト主義者までが彼を中傷することには予期はすれども、彼にはかなりの負担となったことは疑いを得ません。更には、彼の支持者であり、友人であった有力政治家でありスピノザが支持したオラソダ共和国の当時の指導者あった映画アラン・ドロンの嵌り役「黒いチューリップ」の題材にもなったネーデルラントのヨハン・デ・ウィット(Johan de Wit/1625年 – 1672年)とその兄の虐殺に憤ったスピノザは「付録」というよりは些か情緒的だとも云い得る程に オレンジ公派の通俗信仰を「付録」の形式を借りて非難します。此の後のスピノザの立ち位置からは「偽神」詳しく述べれば「人間の創造した神」の人間精神の在り方を述べていきます。スピノザは当然に現在の「量子重力理論」を知り得べきもありませんから、神存在に人間精神の介入を排撃、別置したのには驚きを隠せません。何れにしろヨハン・デ・ウィットが反対派に暗殺された事件がスピノザの執筆活動に与ええた衝撃の大であ ったのは とにかくとして彼自身 も危険を計算しないわけにはいかない状況が生まれます。彼は神は死んだとするニーチェや唯物史観の弁証法を旗印とするマルクスのような無神論者ではなく、人間が妄想する御伽噺の世界の神様や、或る民族守護神としての神の申し子、スピノザの民族「ユダヤ民族」の守り神、其れ等の存在が神格性を人間から賦与されたことを否定するのです。 哲学・思想ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年06月12日 06時10分05秒
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