希土類元素(レア・アース)ってなあに?(2)
今日は雨。花散らしの雨と言いますが、我が家の桜は8分咲きなので大丈夫です。「希土類元素」に興味湧きましたか?2.希土類元素の歴史 希土類元素が発見されたのは、紀元前から使われていた銅や金と違って200年ちょっと前のことです。新金属といわれるゆえんです。人類に役に立った初めての製品がガスマントルでした。オーストリーのDr. Auer von Welsbach がガス灯を発明し、ローソクと石油ランプしかなかった時代に明るい光をもたらしました。すぐにエジソンの電灯に取って代わられましたが、今でも銀座や神戸ハーバーランドのガス灯通りで見ることができますし、キャンピングライトとして重宝しています。ところで、キッチンのガスコンロはなぜ光らないのでしょう?ガス灯のマントルは希土類元素の〈セリウムCe〉が光っているのです。ガスマントルはガス管のノズルの先端に、硝酸セリウムと硝酸トリウムを染み込ませたレーヨンの網を被せ、着火して燃焼してセリウム、トリウムをスケルトン化したもので、トリウムが熱を吸収してそのエネルギーをセリウムが貰って光を発しているのです。[熱→光] 変換を効率よく行うのです。3波長蛍光灯も同じような原理で、蛍光体の中の希土類元素が電子のエネルギーを貰って光るのです。ここで、希土類元素がどのように産業に貢献してきたか、一覧表を提示しておきましょう。 〔主な希土類元素応用の歴史〕年代 用途 使用材料 効果 1885 ガスマントル 酸化セリウム 人類に光をもたらしました1903 発火石(ライター石) 希土類金属 人類に簡便着火具をもたらしました1940 アークカーボン 希土類フッ化物 探照灯、映画映写機の明るい光源1935 鉄鋼改質 希土類金属 寒冷地の石油パイプラインが出来ました1948 ノジュラー鋳鉄 希土類金属 脆かった鋳物が強靱になりました1955 板ガラス研磨剤 希土類酸化物 磨き板ガラスの生産性が飛躍的に向上。自動車フロントガラス研磨、レンズ磨きにも応用1960 光学レンズ 酸化ランタン 超高純度酸化ランタン含有高屈折低分散カメラレンズ発明。日本のカメラが世界倦席1960 セラミックコンデンサー 酸化La,Pr,Nd 小型高性能化、圧電素子、センサー、サーミスター、バリスタなどにも応用1961 石油クラッキング触媒 希土類化合物 希土類ゼオライト触媒でガソリン高効率製造1964 カラーTV蛍光体 酸化Y,Eu 高輝度赤色蛍光体。色が鮮やかになった1964 ガラス消色 酸化セリウム 窓ガラスが無色透明になった1975 高性能永久磁石 サマリウム Sm-Co磁石でウオークマンが出来た1981 自動車排気ガス触媒 酸化Ce,La カリフォルニア規制がクリア出来た1985 高性能永久磁石 Nd・Pr 最高性能のNdFeB 磁石が発明され、電子機器の超小型化に貢献している1990 Ni水素二次電池 希土類金属 Ni希土類合金の水素吸蔵能を応用して電極に使用、安全性の高い2次電池開発それぞれのエピソードは追々書きましょう。