希土類元素製錬技術の発展(7)
溶媒抽出分離法は分離係数の大きさが大事。 [レア・アース製錬技術の発展](7)溶媒抽出法のメリットは a.液々分離 即ち液体を扱うので、移動が容易、装置コスト安く自動化しやすい。 b.金属イオンの移動(変化、反応)速度が他の方法より格段に速い。 c.母液とのセパレーションが確実。(沈殿、結晶では母液と縁が切れない) d.反応が原理通り進行するので、シュミレーション計算が可能で、分離設計がで きる。 これにより、連続多段向流抽出法で1段当たりの分離係数が低い元素間も高純度に分離が可能となった。向流抽出システムを図5に示す。連続多段向流抽出については、対象元素をAとし、不純物元素をBとした場合、ある純度の原料から所定の収率で所定の純度の製品を得ようとするとき、そのシステム全体で、どの程度の分離係数が必要かコンピユータシュミレーション計算ができる。この分離係数を総合分離係数GSF (Gross Separation Factor)と名付け2)、装置設計に利用した。この係数のファクターは、 a.イニシャルフィードの純度 b.元素間の分離係数 c.システムの段数 d.各段の抽出率 (溶媒と水溶液への分配率)この4ファクターの関数である。これにより所定純度の製品を得ようとすれば、どれほどの段数が必要か、また、収率はどの程度で収まるかが、シュミレーション計算できるので、システム設計が容易になった。 溶媒の必要な資質は、 a.水への溶解度が低いこと (繰り返し溶媒を使用するので、僅かの溶解度でも溶媒が無くなってしまう。) b.金属イオンの溶解性が良いこと。逆抽出性が良いこと。 抽出速度が速いこと。 c.粘度が低く、表面張力が小さく水とのエマルジョン性が低いこと。比重が小さいこと。 d.揮発性が低く、発火、引火の危険性が小さいこと。 e.安価で、多量に容易に入手可能なこと。 f.希釈性の良いこと。 などである。このような条件に適った次の溶媒が実用化された。 TBP : 4価セリウムの高純度化、Laの高純度化 D2EHPA : 軽希土類からユーロピウムの濃縮 PC88A(2 Ethyl Hexyl Phosphate Ethyl Hexyl Ester) : La,Pr,Nd, Eu,Smの分離 Aliquart336(Tri Capryl Metyl Ammonium Salt): 重希土類からYの分離 バーサチックアシッド10(3rd Carbonic Acid): 重希土類からイットリウムYの分離