KISSの原則
Kindle unlimited で読むNewsweek日本語版10月26号の特集は『世界に学ぶ至高の文書術』。
いつもブログにへぼい文章をアップしては妻に誤字脱字を指摘してもらい、そそくさと修正している身としては是非とも身に着けたい術である。
この特集の巻頭記事では、元CIA工作員という異色の経歴を持つ同誌のコラムニストが、CIAでのキャリアの中で報告書の作成に実践してきたという原則が紹介されている。それが『KISSの原則』である。
記事の中で『KISS』はKeep it Simple, Stupidの略として記載されている。なぜこれだけ短い標語のわずか4つの単語の内の1つを割いてまで『Stupid』が入っているのか気になったので、この言葉について調べてみた。
元々この言葉は、ロッキード・スカンワークス社で数々の民間機、軍用機の開発に携わったクラレンス・ケリー・ジョンソンという航空技術者の言葉で、彼自身はKeep it Stupid Simpleと言っているようだ。
Keep it Simple、Stupid!だと、「物事は簡潔にしておけ、間抜け!」と訳してしまいそうになる。Keep it Stupid Simpleになると「愚直なほどに簡潔に」と読める。
クラレンス氏が、人を見下しブイブイ言わすような人物でないとすれば、後者の方がしっくりとくる。
他にも『Keep it short and simple』の略という説もでてくるが、当たり前すぎるような気がしてなんだか味気ない。
この言葉はNewsweekの記者が、文書作成に活用していたという事で、セオリーとしては『文章術』に限ったことではない。記事にはCIAでの作戦計画を立てる訓練の時に、「複雑で綿密な計画ほど、想定外の事態が起きた時の対処が困難になる」という教訓と共にこのKISSの原則を教官から教わったと書いてある。
Wikipediaには、この言葉の語り手である航空技術者が「平凡な整備士が戦闘状態の中、一握りの工具で修理ができるようなジェット戦闘機の開発を志した」というような事が書いてある。
Wikipedia:KISSの原則
このブログを読んで頂いている皆様を悩ませたり、迷わせたり、読んだことを後悔させたりせず、簡潔で伝わりやすい文章を書きたいものである。