テーマ:社交ダンス(8651)
カテゴリ:その他
引越に当たって、とても気にかかっていることが一つありました。
1週間前にクリーニングに出した大将のYシャツです。 毎週木曜日が定休日なので、金曜日に受け取って箱詰めしてと目論んでいたんですが、なんと金曜日もシャッターが閉まっています。 「臨時休業かな。普通、張り紙とかするよね。」 そこは駅前の小さなクリーニング店で、橋田壽賀子さんに似たおばさんが一人できりもりしていました。 「姪っ子がね、ダンス始めたんだって。」 私達がイカムネシャツなんか出しにいくと、そんなことを話してくれました。イカムネシャツとは、競技会で男性が燕尾服の下に着るシャツのことです。 イカムネシャツ 引越当日、土曜日の朝になってもシャッターは開きませんでした。 「まずいね。シャツだけ引越した後に取りに来なくちゃいけないかもね。」 大将は10時,11時、12時と1時間ごとにクリーニング屋さんを見に行きましたが、やはり開いていませんでした。 とうとう出発の時間になって、競技会用のゴロゴロかばんに貴重品や残った品物を詰め込んで部屋を後にした私達は、管理人室に挨拶に行きました。 そして、2週間くらい前から姿が見えない おじさんのことを聞いてみたのです。 「ああ、ついさっきまでここに来てたんだよ。」 実は食道ガンで、来週入院、来月手術をするというのです。少し前から、『ものが飲み込みにくくなった。』とこぼしておられたとか。 いつもガラスをピカピカに磨きながら、元気に声をかけてくれたおじさん。ショックでした。またお会いできるでしょうか。 思いのほか管理人さんと話し込んでしまって、もう時間ギリギリでした。 ひょっとしたら、3時に約束している引越業者のトラックが先に到着してしまっているかもしれません。 ゴロゴロかばんを引きずって駅に走りました。 ふと見ると、クリーニング屋さんが開いてるではありませんか。 「時間ないけど、どうする?寄って行こうか。」 おばさんは、今店開けたと言った感じで、私達の様相を見て『旅行でも行くの?』 ちがうんですよ。引越なんです。 「どこ?○○市?そりゃ遠いわ。店開けてよかった。実はね、兄貴が亡くなっちゃって、葬式だったのよ。」 え~! 私達の大急ぎモードに急ブレーキがかかりました。 クリーニング屋のおばさんは、「今までありがとうございました。元気でね。」と言って下さいました。「おばさんもどうぞお元気で。」 それぞれの事情で、生活は流れていきます。引越、入院、葬式、それぞれの流れがここで交錯し、そしてまた別れていく瞬間でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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