カテゴリ:アート
前回のこの美術館での「帝展期の東京画壇」で、
木村武山の「光明皇后」を見て、この画家の万葉 の昔の時代のような色遣いがすっかり気に入って しまった。 今回も、まず「慈母観音」↑と「観音」が出展され ている。「慈母観音」は、狩野芳崖の「悲母観音」を 連想するが、やはり彼へのオマージュのようだ。 この二つの観音にうっとりと見入ってしまう。 武山の十二か月図の色紙もよい。特に十月の「楓 小鳥」の虫食いの楓の朱色が、実に素敵であった。 「錦魚」の水面に浮かぶ水草でも、わかるように、 彼は金泥を使って植物の表情を表している。この 質感が素晴らしい。反面、水の中の小エビやメダカ、 水すましなどが薄墨でシルエットになっており、 雰囲気がいや増すのである。 そして、武山の「仏画」。彩色画と紺地の紙に金泥の 描線だけの仏たちが互い違いに並べられている。 この展覧会で、武山という画家の作品を数多く 見ることができ、お気に入りの画家のひとりと なった。 逆に大観の作品は、武山に比べ、感銘するものは 少なかった。 最初の部屋では、「夜梅」。墨で描かれた梅の固い 枝の表情が、峻烈な感じを与え、胡粉の白い花が ほっとした感じを与える。これは良かった。 「大正大震災大火災」は紅蓮の炎に包まれる上野 から浅草界隈の様子。まさに大観が目撃しただろう 光景だが、小品でもあり、大観らしくないなぁと 感じた。それでも一見の価値はあり。 奥には「誌上の光彩-樺島勝一」のコーナー。 山中峯太郎や海野十三ら原作の冒険小説の挿絵。 なかには、ペン画ではなく、写真と見間違える ようなリアルな絵もある。 ジャングルでの猛獣との遭遇、海中探検、未来都市、 戦争もの・・・など、原作を読まずとも、ワクワク ドキドキの世界。楽しめた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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こんにちは
本当に色々愉しませてくれる野間です。 武山の色彩感覚は優しくていいですね。 >万葉の昔の時代のような色遣い 言いえて妙です! 翳りがなくていいですね、ほんとに。 樺島のスーパーリアリズムは本当に凄いです。 わくわくが止まりませんよ。 (2009年03月30日 12時50分13秒)
武山、すっかりファンになりました。
まだまだみたいですね。 (2009年03月31日 22時05分58秒)
樺島、正ちゃんとちがって
そのリアリズムには、驚きました。 (2009年03月31日 22時08分23秒) |