カテゴリ:アート
はじめて白髪一雄を知ったのは、それこそリニューアルオープンした アーティゾン美術館(ブリヂストン美術館)のこの作品です。 タイトルは、「観音普陀落浄土」↓ この画家の作品のタイトルは、無題も多いのですが、このように仏教的 (密教)なものや水滸伝の英雄の名前を付けたものが多く、漢字が並ん でなにかぞくぞくするような感覚になります。 初めて見た時に、厚塗りの絵の具の中の色の混ざり具合、グラデーション が美しくうっとりと見とれました。筆で描くのは大変だろうと思っていた のですが、後日、この画家の作画方法をギャラリートークで聞く機会が あり、唖然としました。それ以来、強烈にこの画家の名前が脳裏に焼き 付けられ、機会があると楽しみに足の指の跡を探しています。10年ほど 前に横須賀美術館で見た展覧会は、今でも強烈な印象が残っています。 10年ぶりの今回の展覧会は、そんな白髪の初期のまとも?な時代の 作品から、独特の抽象画まで生涯にわたる作品が60点あまり展示されて います。初期の頃のちょっと不気味かつほのぼのとした味わいの絵も 面白かったです。(どちらかというと抽象画っぽいのですが) あのアクションペインティングがはじまって、しばらく経って、獣皮に 赤い絵の具を塗りたくった作品などが現れます。血の匂いと暴力的な エネルギーが感じられて、頭がクラクラとしてきます。水滸伝の英雄たち のイメージに当てはめたとのことです。 その後、白髪は僧侶となり、密教の世界を具現化するような絵に変わっ ていきます。打って変わって、静謐さが心に突き刺さるような色彩表現に 変わっていきます。足ではなく、板切れ(長いへら)で描いたそうです。 そして、晩年は再びにフットペインティングに回帰していきます。 とにかく、驚くほどの厚塗りの作品があったり、勘弁してくれと叫びたく なるような激しさを持つ作品など、何が何だか分からないが「美」を 味わうことのできる素敵な展覧会でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年01月25日 09時10分25秒
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