「黄落」という詩を、久しぶりに書いてみました。
「黄落」黄金に輝いていた公孫樹の葉がはらはらと舞い降りる。腐葉土にもならないというしっかりとした肉厚の葉が歩道に敷き詰められていく。人に踏まれ、掃き寄せられ、役に立たないものとして袋に詰め込まれ運ばれていくのだ。樹にあるときは日を浴びて目にも眩しいほど輝いていたのに。公孫樹には雄と雌があって交わらずにそれぞれ実をつける。実を腐らせて取り出す種が銀杏だ。雄もわずかながら子孫を残すという。なんのために雌雄が分かれているのだろう。交わらないのならお互いを必要としていないのなら初めから分かれる必要はないのに。それでも欠けたものとして惹かれ合うことがあるのだろうか。街路樹には実をつけにくい雄だけが植えられ並んでいるときく。雄はそれでも少しだけ一人淋しく実を落とす。ほろほろと流す涙を見せぬよう。