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偉大な牛

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2008年07月19日
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カテゴリ:猿楠

バスで、僕は今夜泊まる予定の宿坊の近くまで行った。
警察前とかいうバス亭だ。
高野山行きを決めていくつか本を見て驚いたのだが、高野山はそれ自体が一つの町だ。
警察署があり、役場があり、学校があり、商店街がある。
単に寺だけがあるのだろうと高をくくっていた僕は軽く打ちのめされた。

そのまま泊まるはずの宿坊を探す。
誰もいないようなので少しまわりを見渡してから声をかけると、お坊さんが出てきて、僕を通してくれた。
そこで、宿坊についての説明を受ける。
蒲団をしいてくれること、風呂の時間、夕飯と朝飯に精進料理が出ること、お酒も飲めること、朝は任意参加の勤行があること。

朝の勤行にはもともと出るつもりだった。
でも、僕には、高野山に来たら絶対見ようと心に決めているものがあった。

それは奥の院で今も生きていると信じられている弘法大師へ一日2回、食膳を運ぶ光景を観たいと思っていたのだ。
問い合わせてみると、朝何時かわからないので調べておくという。
場合によってはそれを見に行きたいので、勤行は参加できない旨を伝えた。

荷物を降ろしてすぐに宿坊を飛び出す。

とりあえず宿坊を降りていくといくつかの店が並んでいたので、そこでカメラのフィルムを買った。
久しぶりに愛機キャノンEOS5を持ってきたのだ。
さらに本屋があったので少しだけ覗いてみると、さすがに高野山だけあって宗教関係、特に仏教・密教系の本が置いてあるので、帰りに寄ることにした。

まずは、金剛峯寺だ。

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空海が816年に開山した、高野山全体を統括する中枢にして、高野山真言宗約4000か寺の頂点に君臨する根本道場だ。
『金剛峯楼閣一切瑜伽義祇経』
襖絵を見たり、途中で日本最大級といわれる枯山水の庭園を見たりした。
あの殺生関白の名前で知られる(これはやはり「摂政関白」とかけているのだろうか)豊臣秀次が自刃したと伝えられている間もあった。
ここで自刃したといわれても、畳も新しいし、あまり臨場感は伝わらない。

豊臣秀次といえば、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』では、陣内孝則が演じていたが、夕焼けが差し込む高野山で最後自刃するシーンを覚えている。

あとは最後に観た、井戸や台所がある広間がちょっとおもしろかったが、襖絵などに知見の無い僕にはあまりおもしろい場所でもなかった。
もっといろんなことを覚えてからまた見てみればおもしろいと思うようになるのだろうか。
もっとも全体的に、人がちょっと多すぎた。
ひとりで風景や歴史の中に埋没できるのであれば感慨深いが、
周囲でおじさんやおばさんがあれやこれやとしゃべっているのでは、それを望むべくもない。

080719_145617.jpg

しかし、外から見た金剛峯寺はやはりそれなりに趣があるというか格好よいのであって、
下の門からの登っていく道はそれなりに風情があってよい。

山門.jpg

金剛峯寺を観た後、どうしようかと思い、奥の院まで行こうかとも思ったが、明日の朝も行くことだし、
とりあえずは壇上伽藍と呼ばれるところに行った。

この時点で4時くらいになっていたので、徳川家霊廟、大門、刈萱堂などを見ることはあきらめていた。
出だしが遅かったのと、少々高野山を軽く見ていたようだ。
完全に計画が誤っていた。


壇上伽藍を見て周った。

根本大塔.jpg

根本大塔と呼ばれる塔があるが、朱が新しすぎて趣にかける。
もっともこのように思うのは日本人だけなのだろう。
宗教的建築に歴史的価値やさびれた風情に趣を見出すのは、真に宗教的真摯さに欠ける。
本当に宗教的崇敬を持っているのであれば、いつまでも建築物や仏像を新しく保つべきであって、
現に東南アジア諸国などを周ると、寺院や仏像はきらきらしている。
日本人から見るとどうもありがたみを感じないのだが、本来仏像や寺院はきらきらしていてしかるべきなのだ。

根本大塔と同様、東塔は新しすぎてどうも浮いている感じがあるのに対し、
西塔は古びていてちょうどいい趣を感じる。
空海の跡を継いだ、伝灯国師真然が建てたと伝えられる。

西塔.jpg

根本大塔に入るには200円の拝観料を要する。
中では、大日如来像を中心とする立体曼陀羅が展示してあった。
とりあえず中で仏像を見ていると、お遍路の格好に身を包んだ夫婦が現れ、慣れた様子で真言や般若心経を唱えていた。
興味深かったので、一緒に拝ませていただいた。

他に空海が唐で投げた松が流れ着いて引っ掛かっていたという伝説の三鈷の松などを見る。

三鈷の松.jpg

三鈷の松周辺では、お遍路衣装に身を包んだ一行をみた。

さらに、伽藍の隅には、丹生都比売神社がある。
空海が開山する前に、現地に住んでいた「山の民」が祭っていた神社である。
主祭神は、丹生都比売大神であり、「丹
」は朱砂(辰砂-朱色の硫化水銀)のことであり、その鉱脈のある所のことを「丹生」という。朱砂はそのまま朱色の顔料となり、精製すると水銀がとれる。丹生都比売大神は、朱砂を採掘する一族が祀る神であると考えられている。

空海がなぜ高野山を選んだか?
それはここが水銀の鉱床であり、古来より不老不死の妙薬として知られる水銀を求めたからだという説がある。
空海が伝える密教の教えは、「即身成仏」をめざすものである。
それはこの俗身のまま、宇宙の根源仏である大日如来と一体化するというものであり、空海はミイラ化したという説がある。
しかし、空海はの身体はいまだみずみずしく、生きていると信じられている。
それは水銀を飲みつづけてミイラ化したからだという本を読んだのだ。

そうすると丹生都比売神社は高野山において非常に重要な場所となってくる。
高野山に赴いた折にはぜひ訪れたい場所である。

伽藍を後にし、時間を見る。
ちょうど4時半を周ったあたり。
実はいまから向かえば奥の院もみられるのではないだろうか。そう思った。
明日の朝行く予定だが、場合によっては寝過ごすかもしれない。
とりあえず今行っておいて、明日も起きられたらもう一度行くということでいいのではないか、と思い、向かうことにした。

途中霊宝館があり、多くの展示物があるということで多少惹かれたのだが、700円もすることと、
ゆっくり博物館を見ている時間はないので、通り過ぎた。

先ほどの本屋があったので、本を買ってから行こうと思って入り、店の人に今から奥の院まで歩いて行くとどれくらいかかるか訊いた。
そうすると1時間近くかかるということだし、実は奥の院は4時半までだということを知らされた。
そうなると、今から向かったところですでに閉まっているのだから、まったくの徒労に終わってしまうことになる。

仕方ないので、空海に関係する本を4、5冊購入し、まだ時間もあるので、霊宝館へと引き返した。

霊宝館では、阿弥陀如来と大日如来が多かったように記憶している。
如来像というものは、非常にありがたいものではあるが、あまり目を引くようなものはないように思う。
こういうことをいうと、亀井勝一郎に叱られてしまうのだが。

面白いとおもったのはやはり多面多臂のインドの神様たち。
「瑜祇経」に根拠があるとされる愛染明王などを見ていると多少わくわくする。

加えて、重要文化財、快慶作とされる孔雀明王像。
孔雀は毒をもったサソリなどを食べることから、孔雀がインドで神格化されたのが孔雀明王だ。
非常に妖しくも力強い雰囲気をもった仏像で、やはり目を引く。

孔雀明王.jpg

亀井は、仏像のリアリズムというものは人間の尺度で測るべきではない、というようなことをいったが、
やはり慶派の仏像はそのダイナミックなリアリティが、一味違う。
同じ霊宝館内にあった四天王像でもやはり古いものはいまいち動きが伝わってこないのに対し、
慶派が作ると、今にも動き出しそうな躍動感にあふれたものとなる。
腹部に顔が付いている深沙大将や執金剛神なども非常に目を引く。

霊宝館内には、四天王像や深沙大将象(腹部に顔がついていたのが印象的であった)などの仏像に、どうしても目を奪われる。

最後は国宝の八大童子像。
八大童子とは不動明王に使える童子で(眷属・脇侍)、中国で撰述された「聖無動尊一字出生八大童子秘要法品」(略して「秘要法品」)という経軌をよりどころとしているらしい。

面白いのは恵喜(えき)童子など。説明文では、口元に微笑みがある、などと書かれているが、どうみてもキレる寸前の中学生のような顔をしている。

エキ.jpg

また、制多迦(せいたか)童子などは、頭の上にお団子が5つあって面白い髪形をしているし、

セイタカ.jpg 

スーパーサイヤ人のような烏倶婆ガ(うばぐが)童子や

ウバグガ.jpg

ほたほた顔の矜羯羅(こんがら)童子などもいる。

コンガラ.jpg

童子は、ただ単に子供という意味ではなく、酒呑童子のような鬼を示す。
これを王朝にまつろわぬ「山の民」や選民などの被差別民とする話はよくあるものだ。
いずれにせよ、八大童子がすべてそろっていないこともよくあるというので、八体すべてを拝めたのは非常に幸福なことだった。

そういうわけで、思ったより楽しめた霊宝館だったが、奈何せん足が疲れたので宿に戻ることにする。






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最終更新日  2008年08月01日 23時03分26秒
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