君(キミ)富論
土曜日の日本FP協会近畿支部主催浜矩子さんの講演について紹介しますね。 ※自分のための覚書なので 長文、ご容赦ください。 おなじみの紫の髪に真っ赤なニットのロングジャケット、革のパンツといういでたちで登壇。 講演タイトルは--- 「これからどうなる、グローバル経済と日本」~次に来るものは何か~ 大学院の教授だからか 最初に話全体を表すタイトルと 3つの小見出しを打ち出して メモしやすい構成でした。 2011年は 2012年以降に起こる事柄の 予告編の年だったという前置きで、 「これから話すことは 怖がりの人には次第に 怖くおぞましくなります」 などと風貌と相まって 何ともいえず 夢も希望もなさそうな感じでしたが、 「ハッピーエンドに導くためには どうするかを皆さんと 考えていきたいと思います」 と光射す言葉からスタート。 で本編のタイトル「地球はひとつ、されど、国々は多数」 3つの小見出し1)財政恐慌2)どんぐり戦争3)1ドル=50円時代 うち1)と2)は恐れるべきこと3)は恐れるに足らないこと まず1)から。政策・財政というのは本来民間経済が窮地に陥ったときに救ってくれるレスキュー隊のはずですが、現況は国家と国民の契約違反であり、逆にレスキューを必要としているていたらく。 「ヒト・モノ・カネは国境を越える。されど、国は国境を越えることはできない」 国々の財政もギリシャだけではなくヨーロッパもアメリカもひどい状況。最悪なのはわが日本で、国及び地方の債務残高はGDPの2倍超。 国債を保有しているのは日本人だからギリシャと同じことにはならないなどというエコノミストもいるが、 借金男の物の言い草がけしからん! それは日本人といっても機関投資家だから格付けの低い国債をずっと保有しているわけがない。 そして金融機関が窮地に陥り財政が悪化するという"恐慌の無限の振り子"となる可能性がある。かつてそれは経済活動の自浄作用とか均衡化作用であったのだが・・・ 2)の"どんぐり"はどじょう内閣に絡めたわけではなく、グローバル時代というのは突出した国無きどんぐりたちの背比べということ。 これは歴史上稀なことで、 浜さんといえば 歴史的背景を絡めることが 特徴らしいのですが、 ここで登場。古くはパクス・ロマーナ(ラテン語:Pax Romana)、"ローマ帝国の繁栄が平和をもたらす"と呼ばれていた時代があった。派生語で18世紀頃のパクス・ブリタニカ(大英帝国)、戦後のパクス・アメリカーナ(アメリカ合衆国)、と呼ばれる強大な一国の覇権による平和の時代があった。 今はパクス・チャイナ(中国)か?違う。それは何故か?パクスと呼ばれた国は世界の工場といわれ、いずれも自国の企業であった。それに対し現在は世界が中国を工場にしているのであって、中国も世界に支えられているにすぎないから。 2)の怖いところは大同小異のつぶし合い。 TPPが意味するものはすなわちどんぐり大戦争の予兆。 例外なき貿易自由化のようにいわれているが、看板に偽りあり。 その実は貿易不自由化あるいは囲い込み化。WTOの提唱してきた自由貿易協定”自由・無差別・互恵”から貿易転換効果となる、いうなれば地域限定排他貿易協定。 3)は1994,5年頃から提唱していたこと。 ロンドン駐在中、 当時の1ドル=100円から向かうのは50円か150円か問われた時考えたことで、要因は2つ、バランスと歴史。 バランス要因とは---ドルの価値が過大評価されすぎて、メタボキリギリス=赤字のアメリカを支えるためにアリさん軍団=日本等黒字国が貢ぎすぎたこと。是正すべき。 歴史的要因とは--- 通貨の王様(国際的基軸通貨)であったドルは、ニクソンショック(ドルの金交換停止)が起きた 1971年8月15日をもって終焉している。 現在の状態を例えるなら、バスタブのお湯を抜く時ゆっくり抜けていき最後にしゅるんと抜けるその直前。 1ドル=50円になることを壊滅的打撃要因といっている人は明日の朝為替関係だけが変わるという発想であって、実際は一定の時間をかけソフトランディングするもの。 体質構造も変わっているもの。 すでに国際決済が円建てになっていっている。 かつてドルと同じ役割をしていたポンド(英)と同じ。 現在1ポンド=何円か知ってますか?知らないでしょ。ちなみに1ドル=360円時代、1ポンド=1008円で現在は130円弱。必要としない使っていない通貨が下がっても影響なし。上下に振り回されなくなる。 パクス・ブリタニカの成りゆきを考えると恐れるに足りず。 ただし1)と2)が絡めば恐れる対象となるが・・・ そして結論。 目指すべき道のタイトルは「国富論を越えて」すなわち「僕(ボク)富論から君(キミ)富論へ」。よこしまな言葉に言いかえれば「情けは人のためならず」。 Buy Americanなど国産品常用論があるが、国と国の間ならアメリカがBuy Chinaを提唱するとか、企業間ならトヨタが日産車を買うとか大学間なら同志社が立命館のために学生集めをするとか、相手の富を考えて行動するしかない。 歴史の教訓からまさかは起こるのだから。 レジュメではその後・どんぐりたちはヒーローになれるか?・暗黒は回避されるか締めに光明をもたらす人々とあるのですが、司会者登場で無言の巻きが入って終了。 本当の結論も聴きたかったなぁ~。 話し方はテレビで見た通りでしたが、飽きさせない話しぶりはさすがでしたね。 スタートから15分経ったところで一旦内容から離れて、「午前中忙しくされて昼食後に仄暗い会場でこのような話を聴かされるのはつらいですね。話す方もつらいです。 壇上からはどなたがお休みになっているか一目瞭然です。(携帯の呼び出し音が鳴って)あ、誰かのウェークアップコールですね」 つかみもバツグンでした♪ 締めの言葉は「皆さんに約束してほしいことがあります。この会場から出たら君富論を広めてください」 はい。この通り ブログに書きましたよ♪ 前のいない3列目のど真ん中で真剣に面白く聴かせてもらいました。