別海で過ごした日々は夢の様であった。短い期間ではあるけれど、ここに住んでいるような感覚を覚えたのである。ここから出掛けてはここに帰ってくるという行動がそうさせたのかもしれない。
時間の流れが日常とは違う。ライドだけで考えても、関東のそれとは全く別世界である。バイクに乗ることがこれほど楽しく痛快であると感じることは関東ではないだろう。
道道1038号
9月17日、6連泊した別海町ふれあいキャンプ場ともお別れである。大変お世話になりました。いつかまた来ます。
北海道に来る前は、道南をよく観たいと考えていたのだが、道東で時間を使ってしまっていた。これもまた反省である。
朝の美味しいパンと牛乳。またこうして食したい。
素直に襟裳へ向かえばいいのに、釧路湿原で寄り道してしまい、最後は急ぎ足になる。反省が続く。
まずは行ったことのない田和平に行く。天候はまあまあ。気持ちのよさげなキャンプ場がある。
展望台に上がれば、昨日行った摩周湖方面が見える。展望は360度である。
釧路湿原の西側の道を進むことにする。
「コッタロ湿原展望台」の看板に寄り道してしまう。思いのほか走って舗装が途切れるところに展望台の駐車場があった。
少し上ると湿原が見える。遠くに見えるのはシラルトロ湖の様である。以前泊まったキャンプ場はどこにあるのだろう。そしてシラルトロ湖であれば、手前に釧網線が通っているはずである。もしかしてここは有名な鉄道の撮影地なのだろうか。
さっさと下ってバイクにまたがる。
今度は「温根内ビジターセンター」である。駐車場からこんなに下っていくとは思わなかった。木道を20分ほど散策。これと言って収穫はない。それほど高さがない展望デッキで写真を撮る。この季節、原野が広がっているだけである。
少し走ると「釧路市湿原展望台」に着く。どうしても寄り道をしてしまう。ここで入館料を取られるとは意外であった。
優れた展望は得られない。遠くに工業都市の釧路が見えた。人々はこの広大な湿原から水を抜いて利用しようとしていたのである。
展示物も少しがっかりだが、水槽には見入ってしまう。
個人の方がつくられたという湿原の植物を再現した模型がいくつか置かれていたが、これらはみな見事である。
入館料を取るからには見事な展望が待っていると思ったが残念だった。
見学しているうちに12:00になってしまった。
ここでスマホを見ると、アンテナマークが立っていない。私はてっきりスマホが壊れたか、変な操作をしてしまったと思い、かなり焦ってしまった。どういうことなのだろう。ツーリングサポーターが使えなくなってしまうではないか。
しかし、ここから離れればすぐに回復し、ホッとした。いったい何が起こっていたのだろうか。
立派な国道38号を行き、途中で道道1038号に折れ、海沿いを進む。
1995年の私も根室から釧路を通り、大樹町の晩成キャンプ場へ向かっているが、当時この道道には未舗装の部分があり、私は国道を大きく迂回している。
ツーリングマップには、直別駅(現在は直別信号所)から十勝川までの海沿いの道路には「大半がダートのシーサイドライン」と記されている。なので、当時の私は幕別町まで行ってから、道道15号(当時のツーリングマップでは道道36号)を南下し、広尾に出ているのである。また、十勝川から国道286号にぶつかるまでの国道336号にも「オフロード走行が楽しめる」、「オフロード部分が多い」などと書いてある。当時の私は、大樹の街中を経由して晩成まで進んでいるはずである。
今の道路は全て舗装され、安心して海沿いを走ることができる。
釧路から襟裳岬までの道は、霧多布付近と似たような雰囲気の区間があり、美しい景色を両側に見ながら快適にライドできる道と感じた。またゆっくり走りたいと思った。
十勝川の手前の海沿いにバイクを停めて昼食にする。
道道は途中で国道336号になり、十勝川を過ぎる辺りで海岸から離れる。今グーグルマップを見れば、通り抜けはできないが、湧洞沼辺りの海岸沿いにも立派な道が通っているようだ。やはり余裕のタイムスケジュールでまた来てみたい。
様似町の「アポイ山麓ファミリーパークキャンプ場」を目的地にしたツーリングサポーターでは、到着時刻が17:00過ぎになっている。このまま襟裳岬を経由していくと確実に受付時刻に間に合わない。そこで、経由地の襟裳岬を消すと、ルートが国道236号経由になり、到着時刻が17:00前になる。今日はこの山岳道路を経由して、キャンプ場まで行き、明日の朝に襟裳岬を見ようと考える。
1995年には開通していなかったが、本当に立派な道路である。峠を過ぎれば、牧場には馬が多くなる。
国道336号に出て海岸を少し戻って、無事にキャンプ場に着く。16:10。
受付を済ませると、バイク乗り入れ可能の砂のサイトにテントを設営し、ガソリン補給に向かう。一番近いエネオスはえりも町である。電話で営業時間を確認してから向かう。途中で「コープさっぽろ」も見つけ、ラッキーである。
ここまで来たのだからと、夕暮れの襟裳岬を見に行く。お陰でロマンチックな景色を見ることだできた。
山脈が海に沈んでいく様に見える。
灯台が放つ光は青白い。LEDなのだろうか。
キャンプ場への帰り道、コープさっぽろでゆっくり買い物ができた。欲しいものは何でも揃う。
すぐそばの「ホテルアポイ山荘」での入浴の後、夕食である。メニューが固定されてきた。
泊りは晩成でも良かったかなぁ。