2023年になって走行モードに ECO が追加された。水平対向ツインの Rシリーズ では最後である。これにより、走行モードは、ROAD、RAIN、ECO、DYNAMIC、DYNAMIC PRO の五つになった。しかし走行中に切り替えて使えるのは、設定画面で選択した四つのみである。私は、ROAD、RAIN、ECO の三つのみを選択できるように設定してある。DYNAMIC な走りは今のところ必要ない、と思う。
走行モードという機能は、エンジン特性、DTC の介入度、ABS の介入度、MSR の介入度の四つを、調整する機能である。
日本のバイクにも走行モードを選ぶことができるバイクが増えてきた。でもやはり価格が高くなる傾向には違いない。
DTC はドイツ語で、DYNAMISCHE TRAKTIONS CONTROL 、英語で DYNAMIC TRACTION CONTROL である。
簡単に言うと、加速時の後輪のスリップと前タイヤの浮き上がりを検知して、エンジン出力を調整する機能のこと。
MSR とは、エンジン・ドラッグトルク・コントロール で、調べるとドイツ語の MOTOR SCHLEPPMOMENT REGELUNG の略である。日本語のマニュアルには、「エンジン ブレーキトルク レギュレーター」と書いてある。 英語のマニュアルには、DYNAMIC ENGINE BRAKE CONTROL とある。BMW Japan のサイトでは、ダイナミック・エンジンブレーキ・コントロール である。日本語のマニュアルはドイツでつくっていると思われ、日本語としておかしな部分が多くある。
過大なエンジンブレーキによる不安定な走行状態を防止するため、エンジンブレーキを調整する機能である。
DTC と MSR は BMW Motorrad では以前から採用されていたが、国産バイクにも同じような機能が装備されるようになってきた。
走行モードの ECO はというと、いまのところ、それほど ECO な走りになっているとは感じられない。2019年の R1250R では ROAD モードで27km/リットルを経験したが、2023年の R1250R になってからは、まだない。
北海道のキャンプツーリングでは、ECO と ROAD を使ったが、26.3km/リットルだった。北海道とは言え、荷物満載での数字なので、1リットル越えのバイクでは燃費は良い方だとは思う。
ECO モードでの走行に不満はないのだが、ECO でしばらく走った後にROADに切り替えると、エンジンが力強くなることを感じることはできる。しかし、DYNAMIC がエンジン本来の力を味わえるモードなのである。
一昔前と比べれば、走行中にエンジン特性を変えられるなんてスゴイことである。