テーマ:お勧めの本(7252)
カテゴリ:読書:日本文学&小説
楢山節考改版 ■『楢山節考』(新潮文庫)所収の同名作品を 何年かぶりに再読した。やはり傑作。 あらすじはあまりにも有名なので書くまでもないだろう。 なんといっても、主人公おりんの凛とした姿勢が 清々しくも、また凄絶でもある。 一番光る個所はここだろう。 そのときわしは山へ行って、 新しい筵の上に、 きれいな根性で座っているのだ。 ■実はここに至る地の文章は、三人称で書かれている。 そして、この個所(小説の中間あたり)で、 すっとおりんの心のなかに入り込み、 突如として、一人称(間接話法だが)で書かれる。 この効果は絶大だった。 これ以降は再び三人称で描かれていく。 ■おりんの決然とした姿とは対照的に、 息子に谷底に蹴り落とされる銭屋の又やんの存在が、 やや図式的といえば図式的にも感じるが、 田舎の極貧生活のなかではさもありなん、と思わせる。 ■つねに「死」の瞬間を意識しながら生きてきた老人、 とりわけおりんの心情を思うと、 息子・辰平に戻ってこられても、かえって辛いであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.08.19 10:29:23
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