ファーレ立川アート作品の第76回目掲載です。
仕事の関係で立川駅前にはよく赴くが、新鈴春ビルの並木道にこのような仕掛けがあるとは全然気が付かなかった。時間に追われて活動しているためか、足元の隅々にまで目が行き届かないのだろう。今度行った時にじっくりと見てこなくてはと反省した次第であるが、この街路樹の根元に埋め込まれたツリーサークル、作者ならではの立川に対する思いが凝縮されているようで、とても興味深い。
トンボの街から飛行場の街へ、そして今は創造することを目的とする都市空間を目指す立川。いつか再びトンボの街に戻ることがあるのだろうか?円周上に並べられた12個の作品を見ながら、そしてその変遷を想像しながら、しばし思索にふけるのも悪くないかもしれない。
以下全文引用
新鈴春ビル(1階に三和銀行の入っているビル)の南側の歩道は、ささやかな並木道になっています。木の下には、根もとを保護するための、いわゆる「ツリーサークル」と呼ばれる鉄でできた板が設置されています。よく見ると、このツリーサークルには、トンボがじょじょに形を変えて飛行機になるという様子が浮き彫り状に作られています。
このツリーサークルを考案したのは、普段は主にアースワーク活動をしている、ロサンゼルス在住の長澤伸穂さんというアーティストです。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、戦中・戦後にかけて立川には飛行場がありました(「ファーレ立川」は、米軍の航空基地が返還された跡地に作られた街です)。
また、トンボは、長澤さんが子供の頃武蔵野で見たなつかしい記憶に結び付くものであり、さらには日本が「秋津島(秋津はトンボの古名)」とよばれた古代にまで記憶をさかのぼっていくためのキーワードです。古代の日本と、飛行場の街としての立川の歴史、自分の幼少時の記憶、そして未来に向かって成長していく木、そのような時間の流れがテーマになっている作品です。ツリーサークルは全部で七つあり、そのうちのひとつには作者のメッセージが刻まれています。
この周辺の写真がご覧になりたい方は地図をクリック
関連記事
■ファーレ立川とは
■ファーレ立川アート作品
■No.008 過去-現在-未来
■過去に掲載したファーレ立川の作品集はこちらから