登録有形文化財と書かれた銘板のすぐ真下の、その建物の歴史を記載したステンレスのエッチングプレート、彫り込み板にはこう書かれている。『開店当時は東京の専売公社からモデル店舗に指定され写真入で関係機関に宣伝されたと伝えられています。昭和時代初期の近代商店建築の好例として貴重な建造物となっています』
今ではたばこ屋そのものが23区内では殆ど見かけることが無いために、壁面右書きで取り付けられている銅板製の文字が無ければ、これがたばこ屋だとは看破しにくいだろう。とはいえ、中央部の販売カウンターを見ていると、多少の錆び付きは感じられるものの、往時繁盛していた頃の賑わいが想起され、実に感慨深い。
そして番場商店街通りを挟んで真向かいに位置するのが、旧大月旅館別館。現在はカクテルバースノッブとして営業をしているらしいが、扉の入り口に張られた"closed"やカクテルを手に取るスケッチが、かつて遊戯施設として使われた名残を感じさせるものとなっているような気がした。
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