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2012年07月01日
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EURO2012は様々なゴールシーンがあったが、一番印象に残っているのはピルロのチップキック。チャンピオンズリーグに続く欧州サッカー最高峰の舞台であるEUROの準々決勝で、まさかチップキックをやるとは誰もが思わなかったはずだ。




生きるか死ぬかの瀬戸際で、準決勝進出がかかった大事なPK戦。しかもモントリーヴォが外しているために、イタリアは2対1で圧倒的に不利な局面だ。ピルロ以外の全ての選手は渾身の力を振り絞ってボールを蹴り出しているにも関わらず、第三番手として登場したピルロはあっと拍子抜けしてしまうチップキック。もし外したならば、イタリアのマスコミから終身叩かれるんじゃないのと要らぬ心配をしてしまうほどだったが、肝心の当人のコメントは至って冷静そのものなので、ビックリした。

●超絶PKで流れを変えたピルロ「あのように蹴る方が簡単だった」/ユーロ2012

ピルロはPKの場面を振り返り、「GKはとても気合いが入っているように見えたから、あのように蹴ろうと思った。あのように蹴る方が、ゴールは簡単だった」とコメントしている。

個人的にはワールドカップ2010でイタリアが体たらくに終わってしまったのは、司令塔ピルロ不在(第1戦、第2戦欠場、第3戦途中出場)の影響がかなりあったように思っているが、ACミラン在籍時、カルロ・アンチェロッティ監督寵愛のもとで構築されたピルロシステムは一世を風靡したものだ。後方からの長短を織り交ぜた変幻自在のパスは正確無比に相手陣営の急所を突き、味方も敵も感服するほど。自陣からのロングパス一本がシェフチェンコの足元に届き、電光石火の早業で右足を振り抜くや否やボールがネットに突き刺さるのを何度見たことだろう。相手からすれば常に後方に居るピルロを注意しておかなくてはならないために、より一層の神経を使わなくてはならないのだ。



シャビ・イニエスタのようなスピード感は殆ど感じられないものの、サッカー選手として最も必要な針の穴を通す技術は天下一品。イタリアがワールドカップ2006を制覇したのも、ピルロの卓越したパスセンスに依るところが大きいのだ。決勝戦、力量は五分と五分。一面だけを見るとシャビ対ピルロの見方も出来ようが、準決勝ではそのシャビのパフォーマンスが悪すぎたのが気がかりだ。

パオロ・マルディーニはかつてこう言っている。強国同志ががっぷり四つに組んだとき、勝敗を決するのはどちらがより生きたいと思っているかだと。だとすれば実際にフタを開けてみないとその予想は難しいが、イタリアには規格外の人間が一人だけいる。エジムンド同様に社会規範何のその。ひょっとしたらEURO決勝戦で戦うという重圧を発憤材料に転化する術をすでに身につけているかもしれないのだ。レッドカード・PK戦で優勝の行方が左右されないことを切に望みたい。

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Last updated  2012年07月01日 11時24分40秒
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