源氏物語〔34帖 若菜 166〕
源氏物語〔34帖 若菜 166〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語〔34帖 若菜〕 の研鑽」を公開してます。海辺の松原を照らす朝の光が人々に旅の終わりを告げる。若い貴公子たちは、夜通しの歌舞や酒宴が終わってしまうのを惜しみ、まるで寄せる波が渚から離れていくように、この場を去らなければならないことを名残惜しく感じ、海辺には長く連なった一行の牛車が並び、その垂れ絹が風に揺れていた。その開いた隙間から見える女房たちの衣裳は、色鮮やかで錦繍の花畑を松林に張りめぐらせたかのように見えた。男性たちはそれぞれの位に応じた衣装を身につけ、次々と供膳や料理を院(光源氏)の車へ運び、身分の低い者たちから見るとうらやましく、華やかな宮廷世界を目の当たりにしていた。それは羨望の眼差しを向けずにはいられないほどで、明石の尼君(明石入道の妻)にも、他の院の家族と同じ扱いで膳が届けられ、浅香の折敷に鈍色の紙を敷き、精進物ながら丁寧に供された。その厚遇を見て、人々は、なんと運の強い女性だとささやき合い、庶民的な噂としても評判が高まっていた。