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碁法の谷の庵にて

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2008年07月11日
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カテゴリ:社明運動記念特集

社明運動記念記事ということで、話題に「恩赦」と「仮釈放」を採用しました。

両者とも、裁判所で言い渡された刑罰を一定程度行政が軽い方向に変更する制度ですね。


恩赦は、日本国憲法においてもその存在が認められている制度(憲法73条7号参照)です。伝統的には、国家的な慶事や祈願事などがあった場合に、犯罪者の刑を許す、なんて例がありますね。
平家物語を覚えている人たちは、鹿ケ谷陰謀事件で鬼界ヶ島に流された藤原成経・平康頼が中宮の安産祈願で恩赦を出され許された(許されなかったのは俊寛僧都)ことを思い出してみてください。


 恩赦や仮釈放は、刑罰を行政権(憲法上、恩赦権は内閣など行政権にある)が軽い方向にのみいじる制度です。ある意味では司法権の例外ともいえます。法でがんじがらめな司法権が噛んでおらず、しかも軽くすること限定であるという分、ある意味では鷹揚になしうるという意味もあります。

また、これらの制度には、いくつかのメリットがあります。
服役の長期化による過剰収容や社会復帰阻害の防止。
受刑者へのインセンティブによる所内の秩序の維持や更生意欲のかきたて。

こういった刑事政策的な機能は、決して無視できません。

また、昨年は、執行猶予を罪を犯したとして取り消されたが、最終的にその罪が無罪になった男性について、執行猶予の取り消しを取り消すことができないため、特赦によって解決した事件もありました。



恩赦には、大きく分けると5つあります。

大赦:ある種類の罪(政令で定める)を犯した者に対して、有罪判決の効力を失わせる(ただし、それまでに与えた刑罰は有効で刑事補償などの対象にはならない、特赦などでも同じ)ものです。つまり、自動的に無罪放免となります。また、そうした罪の裁判の最中だった場合には裁判が終わってしまうことになります。
例えば、時代の変化などによってある罪が犯罪とすべきでないとされた場合などには従来処罰された人間をそのまま処罰し続けるのは適当でない場合があります。その場合などに、一律に処罰から外す場合などにはなかなか有用でしょう。

特赦:有罪判決を受けた特定の個人に対して、有罪判決の効力を失わせる。これも自動的に放免ということになります。有罪判決が前提という性質上、裁判の最中に特赦が下りるということがありません。
一例として、冤罪が疑われるにもかかわらず再審ができない場合(例え検察官が再審請求する場合でも、再審のハードルの高さは変わりません)や、大赦のように一般的に犯罪にしないという訳にはいかないけど、彼個人の罪の中身は許してやってもいい、という場合などに有用であると思います。
後述するように、無期懲役囚は仮釈放されますが、あくまでも仮釈放で受刑者であり、何かしでかせば速攻で刑務所戻りになりえます。無期懲役囚がそのような身分から解放されるには、特赦を用います。
※西宮氏から、特赦ではなく執行免除を用いるというご指摘がありました。ご指摘感謝いたします。


減刑:文字通り、有罪判決を受けた人間がいる場合に、有罪判決はキープするのですが、その刑を減らしてしまいます。
やり方は大赦式に一般的に行う場合と、特赦式に個人で行う場合があります。

刑の執行免除:有罪判決を受けた場合であっても、有罪判決はやはりキープされるのですが、刑の執行を受けなくなる、というものです。懲役5年で執行免除を受ければ、彼は懲役5年の判決を受けた人間でありながら街中を堂々と歩ける、という現象が発生するという訳です。
罪は罪であるし、そのことは動かせないけど、その執行は勘弁してあげようか、という場合などに有効だと思われます。例えば、親の死に目にくらいは温情で会わせようかという場合などに有効だと思います。

復権:刑罰以外でも、有罪判決に伴って一定の不利益が発生することがあります。
公職選挙法上の連座制や、公務員の資格などの停止がその一例ですが、それらの制限を取り払ってしまうのが復権です。


大赦や一般的減刑などをする場合には、政令ですから内閣がその内容を決定します。
特赦や個別の減刑をする場合においては、中央更生保護審査会が決定することになります。

※西宮氏から、中央更生保護審査会は決定権者ではなく(事実上決定しているけども)最終決定権は内閣にある旨の指摘がありました。ご指摘感謝いたします。

中央更生保護審査会が審査するには、刑務所長などの上申を受けますが、恩赦を希望する本人が申し出る場合は、意見を付けて刑務所長などが中央更生保護審査会に上申することになっているそうです。
再審の望みがない死刑囚などは、最後の希望を特赦や特赦型の減刑に託すことになります。




では、これらに対して、仮釈放とは何でしょうか。

仮釈放は、恩赦や特赦のように、有罪判決や刑罰をなしにしてしまう制度ではありません。仮釈放は、懲役や禁錮に限定して、有罪判決を受けて刑を受ける人間という地位を維持したまま、身柄を解き放つ制度です。
また、拘留や罰金が納められないで労役場に叩き込まれた人については、「仮出場」という形で同様の制度があります。

仮釈放は司法の判決をいじることだ…という批判をする人がいそうなので念のため反論しておけば、刑罰の懲役や禁錮といった「刑罰の中身」を決定するのは立法(細目は行政の規則にも委ねられますが)であり、司法はそれを「織り込んだ上で判決を下す」訳であって(裁判員でも同じですよ!!!)、それをおかしいということはできません。


仮釈放は、刑期の3分の1を経過すると認める余地が発生します(刑法28条)。無期懲役ならば10年の服役で発生します。もっとも、現実には刑期の3分の2を経過しなければ認められず、また無期懲役の場合には20年は最低服役する必要がある(近年は平均年数が32年くらいにもなっているようですが・・・)ことは、知っての通り…だと思いますが。
ちなみに、仮出場は3分の1等という制限はなく、「いつでも」可能です。叩き込まれたその日に釈放!なんてことだって、別に違法ではありません。


仮釈放が認められるには、地方更生保護委員会によって、

「 法第三十九条第一項に規定する仮釈放を許す処分は、懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について、悔悟の情及び改善更生の意欲があり、再び犯罪をするおそれがなく、かつ、保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるとき」
「社会の感情がこれを是認すると認められないということがないと認められる」


ることが必要です。(犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則28条)つまり、また犯罪をしそうだ、という人間であるとか、あまりにもひどい事件であり、途中で服役を終わらせてしまうのが社会の感情が仮釈放を許さないような事件であれば、仮釈放は認められないわけです。また、仮釈放を認めるに際しては、被害者に意見が聞かれることもあります。(更生保護法38条)


さて、仮釈放をされるとどうなるでしょうか。当然自由の身には一応なりますが、保護観察が付けられます。そして、先述したように遵守事項を守らないと刑務所に逆戻りということになりえます。

遵守事項をがっちり守って、本来の刑期が経過すると、刑を受け終わったことにされます。つまり、晴れて完全なる自由の身になれる、という訳です。ただし、無期懲役は本来の刑期もくそもなく、特赦でも貰わない限りは一生保護観察で遵守事項ということになります。無期懲役で特赦が下りるのは、もう死ぬ寸前で、じゃあ最後だけは真っ白な身で死なせてやろうか…というような場合くらいという話を聞いたことがあります。(真相は知らないので、これを真に受けないように)




恩赦や仮釈放の適切な運用にも、市民の理解は不可欠です。制度の細かい理屈は、いざという時に調べればよいかと思いますので、こうした制度にどういうメリットがあるか、考えていただきたいと思います。






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最終更新日  2009年09月07日 18時19分51秒
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無期懲役の厳しさ   Piichan さん
日本の無期懲役の厳しさがもう少し知られてもいいような気がするのですけどね。 (2008年07月12日 01時31分25秒)

通りすがりに。   西宮 さん
重箱の隅ですが。

> 特赦や個別の減刑をする場合においては、中央更生保護審査会が決定することになります。

中央更生保護審査会が行うのは個別恩赦の「申出」(恩赦法12条・更生保護法4条2項1号)で、恩赦そのものの決定は憲法の規定通り内閣が行っています。まあ、「実質的な」決定は中央審査会だという点で間違いとは言えませんが、一応。

> 無期懲役囚は仮釈放されますが、あくまでも仮釈放で受刑者であり、何かしでかせば速攻で刑務所戻りになりえます。無期懲役囚がそのような身分から解放されるには、特赦を用います。

こちらは誤りです。無期懲役刑の受刑者については、特赦ではなく執行の免除が用いられています。執行終了と同等ということで、恩赦から5年間は執行猶予や再犯加重で不利に扱われます。特赦でいきなり完全自由では、有期刑の受刑者とつりあいが取れませんしね。 (2009年09月07日 17時24分42秒)

さっそく   風の精ルーラ さん
反映させていただきました。
誤字誤植レベルならともかく、内容的誤りが直されるに越したことはないので、感謝しております。 (2009年09月07日 18時20分59秒)

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