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碁法の谷の庵にて

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2012年02月20日
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テーマ:ニュース(99587)
カテゴリ:カテゴリ未分類
 最高裁の判決文はこちらからどうぞ。
 というより批判するなら最高裁判決読んでからにしてください。お願いですから。


 最終的な判決が死刑判決になることは、6年ほど前、最高裁判所が弁論の期日を指定したと報じられたときから予想がついていたことです。
 個人的に感慨も何もない、と言ったら真っ赤なウソになりますが、私としては予想通りの結末を淡々と迎えるよりありません。
 ただ、やはり長かったというのが正直な所感です。差戻控訴審判決から3年半以上も経ってしまった理由が気になります。懲戒扇動訴訟ですら、提訴から4年で最高裁判決まで出ていることを考えるとなおのこと。最高裁の事情があった可能性はあるので最高裁批判まで持って行く気にはなりませんが、弁護団の遅延1ヶ月を大騒ぎする人にはこの点も批判して欲しいと思います。


 さて、死刑になったのは弁護団のせいだ、と騒ぎ立てている人たちもいますが、少年の供述が変わったと言われているのは現弁護団がつく前からのことで、かつ最高裁が公判期日を指定し、死刑の公算が高くなったことがはっきりしてから現弁護人は(二審時代の弁護人も一名いるそうですが)ついていることを忘れてもらっては困ります。
 そして否認の中身も一応は被告人の法廷供述を始め、証拠に基づいています。
 これらは、出版物やかつての今枝弁護士のブログなどをウォッチしていれば、容易に分かることです。
 むしろ、弁護団がついて徹底抗戦したからこそ、死刑判決の正当性が裏付けられるのです。
 弁護団が例えば懲戒請求にビビって主張を変えたりしたら、同じ死刑判決でも魔女狩り裁判の結果としか評価できないでしょうし、ましてや弁護人がつかなければ、今日の判決まで来ることもなかったのです。

※追記※
 死刑廃止論云々といっている人もいましたが、判決文を読めば弁護団は死刑違憲の主張すらしていないことがわかります。これまでの判例でも、していれば裁判所は判例上合憲なのは明らかと書いているからです。セオリー上死刑違憲を書くのは別に珍しくないのですが、安田弁護士は死刑違憲を書かないというポリシーだという話を聞いたことがあります。
 なんにせよ、事ここに至っていつまでも死刑廃止論と結びつけている人たちの思考停止は救いようがありません。
※追記終了※ 

 この程度の時系列の整理や調査も怠っているくせに弁護団を悪しざまにけなすのだけは一人前と言う人たちは、恥を知れと言いたいです。
 刑事弁護活動は、被告人の言い分を無視して行い得ないことを本質とするものである(最判平23・7・15、橋下氏の懲戒煽動訴訟最高裁法廷意見)以上、被告人の言い分と弁護人の主張が異なるという、安易な推測を前提にした論評活動は慎まなければなりません。
 橋下氏とて、最高裁では勝訴と言う結論こそ導かれたもの、その点について弁護士でありながら慎まなかった点についてはきっちりお説教されているのです。
 また、某LS生がその辺を無視したままツイッターでつぶやいて、別の弁護士から厳しく非難されていました(自身の事例調査不足を踏まえて反省しているようですのでここであえて晒すことはしません)が、法律家を目指すのであれば安易な言説はくれぐれも慎んでもらいたいと思います。
 また、もしも自分たちは一般人だからそんなの関係ない、言いたい放題言わせてもらうと言うのであれば、まあ表現の自由があるので法的な処罰はないかもしれませんが、同時に所詮はその程度の言論としか扱われないことを改めて覚悟して頂きたいと思います。


 さて、今回、判決が死刑で、懲戒煽動訴訟が最高裁で棄却となったこととあいまって、弁護団側の主張で認められたことはほとんどないことになります。
 唯一通ったのが大阪弁護士会による橋下氏の懲戒処分(もっとも、これも起こしたのは弁護団ではないようですが)ですが、処分が弁護士会によるものであることもあり、厳粛に受け止められることは少ないでしょう。

 結果として、全ての事態が弁護団バッシングをする連中の大半の思ったとおりになりました。これで弁護人批判はますますタガが外れてしまうような事態にならないか、不安にならずにはいられません。
 もちろん、あの大狂騒曲の中で理解を得るに至っていただいた方も多数いますので、それが救いですが。



 大バッシング騒動から6年近く、当時学部生としての生活が終わりつつあったくらいだった私も弁護士に奇跡的になることができ、幾つか刑事事件を持っています。
 守秘義務に反しない範囲で白状しますが、弁護人として心にもないことを法廷で言ったこともあります。弁護人ですので、被告人に有利にとって発言しなければならない以上、仕事だと思ってやりましたが、傍聴人や修習生も見ている中で、個人的にも辛いものがありました。

 多くの人たちに、刑事弁護人の立場が幅広く理解していただければと祈るばかりです。
 かつてより切実に。






 本村洋氏の会見等の話が出たら、また追記するかもしれません。



※※追記※※

 本村氏の記者会見を見ました。
 部分部分のつまみ出しなので、できれば全文が欲しいところではあります。
 それでも、発言を見る限り、差し戻し控訴審の時とブレがないな、と思いました。
 少年の命に対しても敬虔であり、極めて厳粛な対応をとっていると感じました。犯罪のおこらない社会をという訴えも同様でした。
 また、裁判官・検察官・弁護人のそれぞれの立場の人たちに感謝を述べていました。

 本村氏は2009年に再婚なさったということですが、改めて亡くなられたふたりの冥福を祈ると同時に、今後の人生を健やかに送られること、もしその気がありましたら、その体験を語っていかれることを切に望む次第です。





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最終更新日  2012年02月20日 22時25分37秒
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