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碁法の谷の庵にて

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2013年05月09日
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テーマ:囲碁全般(743)
カテゴリ:囲碁~それ以外
さて、約束の記事です。


囲碁界にもひたひたと強いコンピュータの波が押し寄せています。
CrazyStoneやZen等のプログラムがじわじわと力を上げてきているのです。

将棋電王戦はもちろんですが、囲碁界でも「電聖戦」という棋戦(?)が組まれ、その中で武宮正樹九段を4子で下し、更に石田秀芳24世本因坊も4子で倒す水準になっているということです。


武宮九段や石田24世本因坊に四子で勝てるなら、一般アマなら「県代表狙ってます」と言っても恥ずかしくないでしょう(実際取るに至るには居住地選びや強運も必要でしょうが・・・)。
 私が高校2か3年生だった頃、雑誌「囲碁」で1年かけて学生の強豪12名(実人数11名)がトッププロと置き碁で打つ企画では、概ね手合は三子。阪本寧生現プロ(学生十傑優勝)も相手は工藤紀夫九段だったと思いますが、三子で負かされたはずです。
 あの辺の学生トップに私は全く太刀打ちできませんでした。それでも当時からすれば腕は上げましたが、まだまだ勝つにはほど遠いのではと思っています。

 プログラムの碁は、これまでの序・中盤の棋譜を見る限り、私に太刀打ちできるレベルではありません。
 しかしながら、結果を出していることを踏まえると、この辺の私の判断に誤りがあるという可能性も一概に否定できません。

 私と大差ないレベルか、いや私より強い可能性も?などと、将棋電王戦を見て私も興味が湧き、武宮九段に4子で勝ったZenがプログラムされた「天頂の囲碁4」を購入して打ってみました。







 最初はとりあえず互先で黒を持ち、プログラムに一手30秒の時間を与えて打ってみました。
 棋力設定は段位としては最高設定の五段でしたが、五段では10秒も考えないので、30秒与えた方が強いのです(と知ったのは次の碁を打った後ですが)。
 対局は、序盤一瞬(でもかなり)ヒヤッとしましたが、急所で自ら首を差し出してきたので要石がとれてしまい、後はボコボコ。しまいには盤上の石がデスラッシュを起こしました。

 次いで、棋力設定五段で向二子にしてみましたが、これも勝ちました。
 大コウが勃発し、まあソバコウもあるし死にゃあせんよなと思って打っていたら突然全くの無コウを放ってきて終了。周辺のアヤで死なない石を無理に中手で取りに来たために大損したり、余計な手を決めまくって打てば打つほどこちらは安心と言うシーンもありました。

 一手120秒与えて白をもって打ってみました(手元で用意できる中ではプログラムに一番有利な条件)が、それも勝ちました。流石に前二局と比べれば歯応えがあるかなという感触は抱きましたが、それでも急所に石が来ない悪い癖は抜けていません。完全に中盤で地が足りなくなっていますし、近接戦闘も持て余す形で投了しました。
 その後も何局か打っていますが、全て私の勝ちです。

 前述した置き碁での結果から予想された棋力を考えると、むしろ「弱さを見せた」と言う感もありました。
 プログラムと言うと、部分的な筋に強く大局観は弱い、と言うようなイメージでとらえられがちに思いますが、打った感想はむしろ部分的な筋の方が全然ダメと言う感じです。

 武宮九段に置いて勝ったのは、プログラムとプロとの対局は19路盤では置き碁ばかりで、「明確に与えられたリードさえ守ればよい」と言うやや特殊な条件であることや、プログラムを相手にしていることへの武宮九段の戸惑い、武宮九段が当時と比べても高齢になってきていること、使用したパソコンのスペック差などが影響していると見ています。
 ヨセについてはプロも舌を巻くという話がありますが、少なくとも私との互先では、ヨセに至るまでに勝負がついてしまいますし、ヨセでも全体の薄みを狙ってオラオラとやっていくと簡単にぽろっと損をしてくれます。


 むろん、日進月歩している部分がありますから、天頂の囲碁4が全てではありません。
 そもそもコンピュータ選手権の優勝はCrazyStoneです。
 私のパソコンのスペックを上げ(スペックのそこまで高くないノートPCなので、機能が十分に発揮できなかった可能性もある)、十分な時間と設備を与えたらどうかと言う問題が残っていることは事実です。
 将棋電王戦のラスボスであるGPS将棋みたいに700台近いコンピュータの数の暴力(?)でやってきたらどうかは怪しいです(モンテカルロ法は、コンピュータのスペックがけっこう反映されやすそう)
 それでも、前記した条件の下では、まぐれパンチが命中しない限りは、私の方が強いと言って差し支えないはずです。



 30秒碁では、旧早稲田級シングル・・・というにはやや難しく、10級程度(やや甘いか?高1の時の私が12級)でしょうか。
 強い部分と弱い部分がはっきり出ているので単純にとらえるのも妥当ではないようには思いますが。

 2012年までは、1年ごとに大体前年プログラムへの勝率75%程度という感じで進歩を続けているようです。定先程度、1級程度のレベル差でしょうか。
 全く同じパソコンのスペックで成長率ならば、私にプログラムが一発入れるまではあと1,2年、本格的に捕まるのは2015年、2020年までには勝てなくなると言うところでしょうか。
・・・とはいえ、碁ががくんと難しくなるのはここからなので、これまで通りの成長率をキープし続けるというのはなかなか難しい気はしますが。



 とはいえ、「プログラムに人間が勝てなくなる日」が囲碁界においてもそう遠くない未来に来るであろうという事は、無視できない現実としてみておかなければならないでしょう。
 6年半ほど私が生きている間にプログラムは私に勝てるようになることはないだろうと書きましたこちら)が、本記事をもって撤回いたします。





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最終更新日  2013年05月09日 17時31分11秒
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