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碁法の谷の庵にて

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2017年01月20日
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テーマ:囲碁全般(745)
カテゴリ:囲碁~碁界一般編

 白石勇一六段。新人王獲得経験もある実力派棋士の一人です。



 彼は高校・大学で活躍してからプロ試験を受け、合格しました。



 彼と私は、同じ高校・大学の大会に出ていたこともあります。

 私が囲碁歴を聞かれた場合、囲碁界の有名人で私と年代が近い人、というと真っ先に思い当たるのが白石六段なので、年代を分かってもらうために勝手に引き合いに出しています。

 

 といっても、白石六段は当時から自分にとって雲の上の人。

 私は高校で急に強くなったのをいいことに粋がり、トップの洗礼を受けまくった思い上がり野郎。

 大会で当たるところまでもいかず、練習対局で打っていただいたこともあるのですが、勝負にならないレベルでやられました。

 それでも、棋士は軒並み雲の上の人と感じている中では、まだ近い人というイメージを持っています。(後は年代が一回り下の下坂美織二段くらいでしょうか)

 

 

 さて、白石六段は昨年からブログtwitterを始めていました。

 ブログでプロ棋戦の棋譜紹介をしていただいて、私も興味深く見ていたのですが、どうもスポンサーの意に染まない点があったらしく、棋譜紹介を当面中止することになったとのこと。


 現在調整をしているところのようで,どうなるかの状況は注視しています。


 一応、自己の対局棋譜の利用は日本棋院&対局相手の同意不要、他の棋士の対局棋譜を不特定かつ多数に提供する場合には棋院の(対局棋士のではない)事前同意を得る必要があるという規定があるので、白石六段はある程度包括的に同意を取った上でやっているのだと思っていたのですが…。
(日本棋院対局管理規定3条,棋譜の使用に関する権利規定参照)

 


 こんな件もあったことを契機に、個人的に棋譜の利用について思ったことを書いてみます。

 なお、白石六段の件が具体的にどうもめたかのやり取りは不明瞭・情報不十分なので、下記は白石六段の例を離れた一般論としてお読みください。

 




 日本棋院は、こちらの公式ホームページの記載や対局管理規定を見ればわかる通り、棋譜は著作物であって対局者に著作権が発生する、という立場を崩していません。

 その上で、日本棋院としては、プロ棋戦については棋譜の第一次利用権がスポンサー、著作権は対局料を対価として対局者から日本棋院に譲渡される,という考え方を採用しています。

 こちらも参考になるかと思います。

 

 

 ただし、これは日本棋院の棋戦内規に過ぎず、本当に「棋譜が著作物である」と見解が日本棋院の外で大手を振って歩けるかは,難しい問題だと思います。

 チェスの棋譜については、海外で著作物でないという扱いになっていると聞いていますが、囲碁や将棋・オセロ、その他ゲームの棋譜については、現在日本の裁判所の判例は見当たらないようです。

 「どちらの見解にも一理あると見ざるを得ない、学説上は著作物にあたらず、誰もが自由に使えるとする説が優勢」というのが私の現状認識ですが、統計を取っている訳でもなく正確性担保は無理です。

 結局棋院やスポンサー、あるいはお隣将棋連盟が何らかの形で裁判に出て判決が言い渡されるか、立法的解決でもされないと結論は出ないものと考えられます。

 

 もっとも、棋院が公式見解として棋譜の著作物性を認め、判例がある訳でもないという状況ですし、スポンサーに配慮すべきことは当然ですから、日本棋院の棋士や職員としては現状その立場を尊重し、それに従った対応が求められるでしょう。

 将来的に棋譜が著作物ではないと認められる可能性はあると思いますが、仮にそうなったとしても、今の段階で組織統制上それを勝手に無視することは不適切と考えます。




 そして、上記の規定はプロ棋戦の運営に関するものにすぎず、アマ棋譜の著作権(プロが対局する場合でも棋院の管理運営しない対局などはこちらに入ります)まで統制するものではありえません。

 「棋譜は著作物」という立場をとるにあたって、プロの棋譜だけが著作物でアマの棋譜は著作物ではないということはないでしょう。

 価値はモナリザと落書きくらい違うかもしれませんが、日本棋院の考え方からすれば、著作物であるという一点は共通のはずです。





 そして、私自身も、地元の新聞や県版に棋譜が載っています。テレビ放送されたことも何度かあります。

 一回だけ全国大会に出られた時には、全国大会の棋譜が自分の住んでいない東京の夕刊に載ったこともありました。(かなり後になって知りましたが…)

 そして、掲載にあたって「この棋譜載せたい・テレビ放送したいんですが大丈夫ですか?」と聞かれたことはありません。

 謝礼・報酬に属するものももらっていません(交通費は頂いたことがあります)。

 

 

 アマ本因坊戦のようなアマ一般棋戦の対局の場合、参加者はスポンサーや主催者の職務上対局しているという訳ではないので、その棋譜の著作権は主催者と出場者の間で別段の合意がなければ対局者双方の共同著作物となり、著作権が共有されるものと考えられます。

 「別段の合意」として、主催者である新聞社や棋院との間で棋譜の著作権帰属の規約が存在している可能性もあると思います。

 しかし、検索しても、棋譜著作権の帰属について示したルールは見つからず、個人的にもそんな規約を見せてもらった記憶はありません。

 対局ルールは日本囲碁規約に準拠します、とかコミ6目半で持ち時間何分と言われたことはあっても、自分の棋譜の著作権はどこに、という説明を受けたことは学生棋戦でもアマ棋戦でも記憶の限り皆無です。

 

 

 また、雑誌や週刊碁では読者から投稿された棋譜が掲載されているのも見たことがあります(最近碁ワールドなどは読んでいませんから情報が古い可能性があります)が、この場合、投稿者の対戦相手の承諾はおそらく取れていないでしょう。

 棋譜に著作権アリという見解からは、対局者の一方の同意を採れないまま一方対局者の投稿のみに基づいて棋譜を掲載することは、やっていいのかどうか疑わしいです。
 一応、幽玄の間の対局の棋譜については、著作権が日本棋院に帰属することが規約にしっかり書いてあったりするのですが。(こちらの7条)

 

 

 棋譜が著作権の対象になるということは、アマ棋戦において主催者が対局者の棋譜を掲載することも,対局者個々人の持っている棋譜に対しての権利を制限するものという位置づけになります。

 従って、当然主催者としてもこのような事実を伝え、参加者にそれを理解した上で参加・不参加を選択する機会を保障すべきものです。

 アマチュア囲碁界の慣習だから、で通すのは難しいだろうと思いますし、何より棋院自身の主張に反します。




 棋譜の著作物性を認める立場からすれば、こうした状態はれっきとした著作権侵害の温床であり、由々しき問題ではないでしょうか。




 

 なお、誤解なきように付言しますが、私個人は棋譜が著作物であると認められたとしても、私の棋譜の使用を著作権侵害というつもりはありません。これまでも、これからもです。

 囲碁界に話題が提供でき,囲碁界の活性化につながる(すそ野を広げるだけでなく既にある野が枯れないよう水をやるのも大切な普及と考えます)のであれば、私個人は報酬の有無に関係なく棋譜の提供に同意するつもりがあります。

 むしろアマチュアの私には過ぎたる名誉と考えています。

 また、主催者側も、景品出して、昼食出して、会場借りて、機材集めて休日に人手を集めてやっていれば、数千円の参加費で足りているか疑わしい所があります。

 その点に対する謝礼というか参加費の一部と言う意味でも、棋譜を使われるくらいは「安い物」という視点もあります。

 

 ただし、これはあくまでも私が個人的な感覚に基づいて取るであろう個人的対応に過ぎず、他人に強制してよい性質のものではありません。

 棋譜を著作物とし、それで運営するという立場で行くならば、棋院もアマの棋譜を大事にする姿勢を示すべきではないでしょうか。

 プロの棋譜は著作権で使わせないのに、アマの棋譜は好き勝手に使います、ということのないようアマの棋譜利用について明確にすべきなのではないかと思います。

 棋譜は例えアマのものであれ好き勝手に使ってはならない大事なものだ、という意識を持たせることは、プロの棋譜の価値を高めることにもつながるはずです。

 






 そして,棋譜の掲載などについて参加アマから許諾を取る態勢にしたところで、おそらく多くのアマは自分の棋譜は断固使わせないとは言わないのではないでしょうか。

 

 現にアマ棋戦の棋譜についてこんな記事を書いているのは私くらいで、しかもその私も棋譜を使われることが分かっても抗議など考えたこともなく平気で大会に出ているわけですし(笑)。

 





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最終更新日  2017年01月20日 18時50分07秒
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