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碁法の谷の庵にて

2018年05月10日
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カテゴリ:法律いろいろ


表題のようなことを言うと,「酷い!懲戒請求者を委縮させるつもりなのか!!」と騒ぎ立てする人が出てきます。
およそ10年前ですが、私が当時ロー生で橋下氏の懲戒扇動が問題になったのを追い回していた頃、あちこちのブログその他でそんなコメントは嫌というほど見てきました。

今回の佐々木亮弁護士らに対する大量懲戒請求の件。
懲戒請求の内容自体が心情的にすら同情を得られていない(むしろ佐々木弁護士などはブラック企業への取り組みで市民的にもヒーローに近い)のでさほど大きくはありませんが、弁護士の恫喝だ、SLAPP訴訟だとご丁寧に言っている人がいます。
(光市の件では懲戒請求者側が心情的には同情を得られていたせいか、取ってつけたレベルとはいえ「それらしき」理由づけは結構見ました)


しかし,懲戒請求の法的な位置づけは普通の民事裁判や苦情申し立てよりも刑事告訴・告発に遥かに近い。
このことは自信を持ってお伝えすることが出来ます。

一、双方とも虚偽の理由で行えば虚偽告訴罪(刑法172条)となる。民事裁判では虚偽の提訴をしてもそれだけで罪になるとは限らない。
二、懲戒請求・刑事告発は「責任を持って行えば(←ここ重要)」誰でもできる。(民事裁判は法的な請求権者がやらなければならない)
三、民事裁判と比べ、誤告発・誤懲戒請求には告発者・懲戒請求者の注意義務が比較的高度と解されている。
四、民事裁判は取下げれば裁判が終わるが、懲戒請求・刑事告発は取下げても捜査は終わらない。
(弁護士会・捜査機関にその後も調査する権限は失われず、捜査を進めて最終的に有罪・懲戒に持ち込んでもよい。事実上終了することはある。)
弁護士に懲戒請求をするというのは、警察に「あの弁護士が罪を犯しました」とタレこむくらいのことだという訳です。
犯罪でも罰金などで済むものもあるわけなので、弁護士の懲戒処分より内容は軽い刑罰、というのだって十分あり得ますから,懲戒請求より刑罰を求める告訴・告発の方が重い,とは一概に言えません。


さて、刑事告訴・告発でも、告訴・告発者は上記の責任を負います。

故意に嘘の理由を並べて警察に泣きついて処罰を求めれば、虚偽告訴罪です。夫の気を引きたいという勝手な理由で嘘をついて他人の処罰を求め,結果として1年間の刑務所暮らしをするはめになった人もいます。
誤告訴・誤告発で責任を追及するということも行われています、自称被害者たる告訴者が敗訴した裁判もあります。
法廷では事件の立証のために事件について知っていることをきちんと証言しなければならないことも考えられ、故意に誤った証言をすれば偽証罪で追加処罰が待っています。
もちろん、無罪になってしまって逆に被告発者から訴えられた場合には、告発先の警察署なり検察庁なりで裁判をされても文句は言えないことになります。
これらのことを前提に、「誰もが刑事告訴・告発できるのに、告発者にこんなに重い責任を負わせるなんて不当だ!!」なんて話は寡聞にして聞きません。
自称被害者を提訴する訴訟を「本来の被害者を委縮させる」SLAPP訴訟だという意見も見た経験はありません。
大体,そういう人たちは誤告発された人たちは,法的に通る請求の場合ですら泣き寝入りしろ、ということなのでしょうかね?(法的に通らないとお考えならまだ筋は通りますが)。


被害者である告訴者の場合にはもっと裁判に伴う負担を軽くしてほしいという意見が被害者団体からしばしば出ています(個人的には行き過ぎと思えるほどに)が、それも被害者たる心情の保護が理由であり、第三者である告発者にそんなことは言われていないはずです。



警察にインチキや感情的不満を通報すれば、どうなるかくらいわかりそうなもの。
警察官に「こんなことを通報するな」と怒られたら「警察権力に名を借りた恫喝だ!」とでもいう気でしょうか?
まさか、「警察官は怖い」けど、「弁護士なら怖くない」から強く出ているのでしょうか?







最終更新日  2018年05月10日 12時10分11秒
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