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『犬の鼻先におなら』

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2006年07月10日
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ある幸福な画家の「人生」への贈り物---「はなやぎ」。ズバリの「モーター」の絵に思わず(^o^)。

ブリヂストン美術館に「坂口繁二郎」展を観に行く。
この人の描く題材は人生の節目ごとに変っていて面白い。タッチも変ってゆく。今回の展示は5つのパートに分かれて展示。

(1898-1920)初期は田園風景。
特に牛の絵が上手い。離れてみると更に味わいがある。筆遣いはわりとざくざく描いている。迷いが無い。
描いていて、楽しくてしょうがなかったんじゃないかな。

(1921-1924)渡仏。時はエコール・ド・パリ。ここで彼は、自己の世界を確立したとされる。
激賞された「帽子を持てる女」。明るい水色、空色、ジェイブルーが印象的。この色は最晩年に至るまで彼についてゆく。
空色の画家。

(1925-1942)帰国後、再び彼は日本の田園風景、特に「馬」を描く。
彼の「馬」は有名だ。代表作はこの期に描かれた「水より上がる馬」とよく言われている。
放水路の雲」なんかも好きな絵だ。明るい、人生や世界を祝福する意欲に溢れた絵。

この期に「肉弾三勇士」を題材とした戦争画も描いている。

(1943-1963)より彼の芸術世界が深化した時期。彼は好んで静物画を描くようになる。
特に能面が有名。

(正直、「柿」といった果物の静物画はピンと来なかった。「甘藍」などは、首を傾げてしまう)

私が気に入ったのは「植木鉢」。
何も植わっていない、ただの植木鉢。何点か描いている。
絵画史上、ただの植木鉢を題材に選んだ人物はそう多くないのではないだろうか。
ただの単純な円と線は抽象画といってもよい。

珍品とでも言うべき絵画が一点。題「モーター(モートルの図)
工業用モーターが明るい背景の上に描かれている。何ゆえにモーター?

資料を見て納得した。株式会社安川電機の依頼によるもの。社員の人がわざわざ、モーターを持ってきたらしい。
坂本画伯、正直、しばらく描きあぐねていたとの事(だろうね、普通(^o^)。

しかし出来上がった作品は素晴らしい出来だと思う。
恐らく「モーター」絵画史上、五本の指に入る傑作だと思う。

一種の抽象画に近くなっている。ずっと見つめていると、モーターの幽かな振動が背景に現れているようだ。

(因みに安川電機は今ではロボットなどを製作している企業)

(1964-1969)晩年。
体力が衰えつつも、彼の創作欲は最後まで衰える事はなかった。
最晩年期に彼が取り上げたテーマは「月」と「馬」。
この期、視力が衰えつつあった彼の絵は、記憶に頼って描かれた要素が大きい。
しかし、そうであったが故に反って、静寂に満ち、幽かな光の霧に包まれたような、茫洋と広がる世界が充分に描かれている(「馬屋の月」等)。

静かなる歓喜。

この時期の彼の画境を、作家井上靖は「はなやぎ」と端的に言い表している。

坂本画伯は自ら「私の人生は大変幸福なものでした」と晩年述懐している。
幸福な「人生」への贈り物。

この時期の月をテーマとした絵はどれも素晴らしい(「月光」「八女の月」等)。
深夜、静かに光り輝く満月。うっすらと懸かる雲。
彼の記憶の中にある大空の世界。

幽光」と題された絵を最後に彼は生涯を閉じた。享年87歳。



絵画とは、画家の人生の「おっそわけ」。

坂本繁二郎





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最終更新日  2006年07月10日 06時42分41秒
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