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カテゴリ:投資の心得
戦闘において、「敵は十分に引きつけてから討て」 と言われます。
典型的な例は、戦国時代の鉄砲隊です。 当時の鉄砲は射程距離が短かったため、遠くから射撃しても命中しないし、たとえ命中しても威力が弱く、効果は低かったと思われます。 さらに当時の鉄砲は連続射撃ができず、一度射撃すると次に射撃できるようになるまでに数10秒(?)かかるため、その間に敵に攻め込まれてしまいます。 そのような状況ですから、一撃必殺で必ず命中させる必要があり、確実に戦果が上がる距離まで敵を引き付けてから撃つことが肝要でした。 しかし兵士にとっては恐怖心があるため、敵が近づいてくる前に早くやっつけたいと思うのは、自然な感情です。 だからこそ、「敵は十分に引きつけてから討て」 ということを、肝に銘じる必要があったのだと思います。 また孫子の兵法では、川を渡河してくる敵を攻撃するタイミングは、渡河している最中の敵を川の中で攻撃するのではなく、半数を渡らせてから攻撃をしかけるべきだそうです。 両軍の兵力が同数であれば、半数が渡河したところで戦端を開けば、2対1の有利な状況で戦えます。 しかも敵は退却したくても、背後には川があるため逃げ遅れて、大損害を与えることができます。 これを敵が渡河中に攻撃をしかけると、こちら岸への上陸を防ぐことは容易かもしれませんが、敵の兵力に大損害を与えることはできなくなります。 気持ち的には、敵の行動が制約されている上陸前に攻撃したくなるのが人情でしょうけど、戦果を最大にするためには、攻撃をしかけるタイミングが重要になってきます。 さて、これを株式投資にあてはめると、どうなるのでしょうね。 狙っていた銘柄の株価が下がってきた時に該当しそうですが、株式投資と上記の戦闘の例では、決定的な違いがあります。 戦闘においては、奇襲攻撃の場合を除き、敵は必ず自陣まで攻めてきます。 敵の行動は予測がついているので、自軍にとって有利なタイミングを計ることが容易にできます。 一方株式投資においては、株価の動きは予測できません。 狙っていた株価まで下がる前に、上昇に転じてしまうかもしれません。 渡河中の敵軍が、渡河するのを止めて引き返すようなものです。 そういう場合には、無理に追撃(追っかけ買い)せずに、やり過ごすのも一考に値します。 「敵は十分に引きつけてから討て」 を、短期的なタイミングを計る目的で株式投資に応用することは、難しいかもしれません。 もっと長期間を見据えて、「あせって出動するな」 という風に考えたいです。 一旦下落相場に入ると、もう十分に株価は下がったと思ったところから、さらに大幅に下がり続けるのが常です。 株価は上にも下にも行き過ぎるものです。 はやる気持ちを抑えて、機が熟すのを待て、という意味合いとして、「敵は十分に引きつけてから討て」 という言葉を捉えたいと思います。 日本の株式市場は、そろそろ機が熟してきたのでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.05.18 19:38:31
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