カテゴリ:「本」の紹介
◎『とこしえのお嬢さん ―記憶のなかの人-』 ・野見山 暁治 ・平凡社 ~カバー、表紙の版画5点(2014)に、8点の絵画とアトリエ・アトリエ内の筆者写真(カラー)と挿画に目を 休めながらの21篇。装幀・撮影=毛利一枝、フォントも優しい126ページ。 (15.5×21.3) カバー裏のことばに全篇が収斂されている~「誰しも人には言えない、或いは本人にも気づかない 何かどしようもないものを 引きずっている。 一途に憎めるものではない。」 「それほどにも長く生きていたいとは思わないが、あまりにも周囲の誰彼がいななると、思ったよ り淋しいものだ。いま使っているアドレスブックは、ここ十四、五年くらい前だが、いくつもの名前の上 に黒い線が乱暴に引かれている。引くたびに明日からの何かが一つ消されてゆくような気がして ならん。」・・・そうしたひとたちとの邂逅20人~・屋根裏のエトランゼ-風間完 ・モンパルナッスの日々- 岡本太郎 ・海を渡った剣客-加藤周一 ・ある同級生-佐々木四郎 ・長い歳月- ヨーコ・オカザキ ・ 幼子のまなざし-ピカソ ・筒袖の巨匠-坂本繁二郎 ・還ってこなかった妖精-純子 ・ただそれだ けの夜-三岸節子 ・とこしえのお嬢さん-センゴク・シズコ・・・・そう、時代を創った人たちだ!! それぞれの"自由闊達"なエピソードは愉しく、謳歌していたものだ! その中にあっても、そこここに あった"不穏"な空気も見逃していない! ~・息をはずませ心ここにない放心の酔いが、いきなりぶ つ切られた。すでに何年も前から兵隊を中国に送り込んでいて、戦火は次第に拡がっている。 (中略)時局を弁えぬ非国民、国に背く不忠者。(将校の怒声・これに対し、林芙美子は) 「(中略) 軍人だけが国を守ってるんじゃないよ、と軍の端くれにたたみかけた。 ・その後、少しずつキナ臭い匂いが立ちこめていって、いつの間にか戦争という狂った時代を迎 える。戦が終わって、それと同じくらいの辛い戦後が続く。 ・どんなに待ちこがれた東京。しかし戻ってみると、(中略) 生きられるだけの食料や衣類は、配 給品として規制され、髪を刈れとか、個人の服装にまで口を出す息苦しさ。近づく戦争に備えて、 国のありようが一気に変わったのだ。・・・・敢て、長く引用したが、"今"も思いあたりませんか、、、? 「自作を語る」~・炭坑が、やっぱり原点といえるのかもしれない ・いずれにしてもぼくは見たも のを描いている。見たものしか描けないから。 ・(博多駅のステンドグラス)できればこれを描いた人 とは会いたくないなあと思う。 ・描いているうちに上下がこんがらがるんです。(絵の具の垂れに) 「あとがき」~引用しようとしたが、この最後の「行」は、ぜひ本書で!!! 若き血潮、いつまでも! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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