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今上空に大きく映し出されているこのお爺さん・・・もしかして、この人がゼウス?
彼が映し出されたことにより、皆が何事かと驚き慌てふためいてる。 そして、少しだけ時間が経ち上空に映し出された彼はゆっくりと口を開いてきた。 「地上世界に住む全ての民よ、我は天上界を統べる最高神ゼウスなり」 聞こえてきた声はとても低くそれだけでも威圧されてしまうように思える。 「1年前に七大英雄の生まれ変わりである四大天使の手により、魔王サタナエルが討たれ、世界に平和が訪れたと勘違いしている者が殆どかもしれぬが・・・それは大きな間違いである」 突如上空に映し出されたゼウスからの言葉にその場にいた全員が言葉を失い、静かに耳を傾けた。 「魔界では、アシュタロトという魔族が新たな魔王として実権を握り、今まさにここ地上世界と我らが天上界を我が物にせんと暗躍を始めている」 アシュタロトが魔王、ねぇ・・・まぁサタナエルの実弟とか言ってたし妥当は妥当か。 「我はそのアシュタロトの侵略を防ぐため、地上世界がアシュタロトの手に落ちないように拠点を持ち、代わりに我らが戦い迎え撃とうと思い使者を送り込み各国に打診を図ったのだが・・・地上世界の代表者たちはそれを受け入れてはくれなかった」 ・・・は? 「ナニを言ってやがんだあいつは・・・」 「え、えぇ・・・たとえゼウスの今言ったことが本当だとしても、それでもここ地上世界でむやみに戦火を広げるのは違うと思いますわ」 「それよりもですよ?そんな護ってくれなんて私達は一言も言っていないわけですし、そんな押し付けがましくやられても迷惑なだけですよ」 「それにさ、どうして争いで全てを収めようとするんだろうね・・・まぁ、私達がそんな事を言える立場じゃないっていうのはわかってるけどさ。でも、何とか話し合いで解決することが出来ないのかな?まずはそこの可能性を考えるべきだと思うよ」 と、その時。私達の耳を疑う言葉が聞こえてきたよ。 「我もあまり手荒な真似はしたくなかったのだがな。もう時間もあまり残されていない、この声明を聞いたアシュタロトはすぐにでも手を打ってくるであろう。だから、我は心苦しくはあるが、これより地上世界の民に対して実力行使を行い、各主要都市の制圧に移ろうと思っておる」 「くぅ・・・言ってることが無茶苦茶です。今の話では言う事を聞かないのなら叩いてでも無理やり言う事を聞かせるようにする、そのようにしか聞こえません。それでは魔族とやってることは変わらないじゃないですか!」 「これも、全てはこの世界のため、皆の者に迷惑をかけるが仕方のないことなのだ。わかってくれ」 申し訳なさそうな表情を浮かべながら最後にそう締めたゼウス。 分かってくれと言われても、そんな話、誰が納得するっていうのかなぁ・・・ 正直今の彼の演説では私達ここ地上で生活する皆は絶対に納得しないと思うよ。 その表れかどうかは分からないけど、この今のゼウスの話を聞いた皆は凄く戸惑ってるように見える。 と、そんな私達の反応なんていうのは、向こうからしたら絶対にこうなると予想はしてるんだろうけどねぇ・・・ ゼウスの一方的な話が終わると上空に突如として映し出された彼の姿は消えたんだけどね? それと入れ替わるように、今度は美しい虹色のロングヘア、背中からは6つもの翼を生やした美人な天上人が映し出されたんだよ。 「あ、アルマロス!?」 彼女が映し出された瞬間、ゲティンが凄く驚いたように声を張り上げ叫んだけど・・・ 知ってる人、なのかな? 「ねぇ、ゲティン?今映し出されてる人ってゲティンの知ってる人?」 私の問いかけにゲティンは困惑した表情を浮かべながらも答えてくれた。 「彼女はわたしの幼少の頃よりの大親友、アルマロスです。ですけれど、何やらまとっている雰囲気がいつもと全然違うのです・・・」 今上空に映し出されているそのアルマロスさんって人の目は氷のように冷たく、そして全てを射抜くほど鋭いモノ。 ゲティンと親友っていうくらいなんだし、きっと彼女も普段はもっと柔らかな雰囲気で親しみやすい感じの人なんだろうなぁ・・・ そんな彼女が口を開き、何かを語りだした。 第49話 神々の宣戦布告 その1.終わり その2.へ続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年08月19日 00時25分10秒
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