テーマ:DVD映画鑑賞(14163)
カテゴリ:DVD
ハリウッドには大資本が集まっています。映画製作には莫大な資金がいりますから、当然でしょう。 思想的には体制側、保守的にならざるを得ません。マーケットが世界的規模ですから、作家制の強い作品や、前衛的な映画は、商品としては失格でしょう。 制作費を回収するためには、一般受けする映画、大衆に喜ばれる作品が優先されます。マイケル・ムーア監督の作品などは、あくまでも例外です。 人種の坩堝(るつぼ)と言われる合衆国ですが、不思議にナショナリズムは強いようです。大統領に対する敬虔の念は、人種を越えたものがあります。オリンピックにおけるナショナリズムの発揚は、どこの国でも同じですが、アメリカはとりわけ強いような気がするのは、当方の思いこみでしょうか。 飽きずに国威発揚映画が作られているのも、ナショナリズムと無関係ではないでしょう。強国アメリカを世界に知らしめ、畏服させようと言う国策があるのかもしれません。本作もその一種、と見ました。 制作=2000年 アメリカ映画 129分。監督=ジョージ・ティルマン,JR。出演=ロバート・デ・ニーロ、キューバ・グッティング・Jr.シャーリーズ・セロン、ハル・ホルブルック、アーンジャニュー・エリス、ジョシュア・レナードほか。 自由の国アメリカですが、差別は厳然として存在します。人種、階級、経済などなど。格差を乗り越える手段としては、プロスポーツの花形選手、芸能界、そして軍隊の中で昇進する手があるようです。 1966年、海に墜落した米軍の核弾頭搭載機を回収している深海ダイバーの中に、カール・ブラシア(キューバ・グッディングJr)という一人の黒人がいました。1943年、ケンタッキー州ソノラ。少年ブラシアは貧しい小作農民の子として育ちますが、父の強い励ましもあり、村を出て海軍に入隊します。 しかし、海軍で彼を待っていたのは、差別やいじめという厳しい現実でした。コックや雑用係から甲板兵へ進み、やがてダイバーになることを夢見るブラシアでしたが、ニュージャージーの養成所では、彼を鬼教官ビリー・サンデー(ロバート・デ・ニーロ)の敵意が襲います。 ブラシアは、のちに結婚することになる医学部の女性ジョー(アーンジャニュー・エリス)の存在を支えに、見事ダイバーとなりました。そして1966年。ブラシアは回収作業中、脚に大怪我を負ってしまいます。 伝説のアフリカ系アメリカ人海軍ダイバー、カール・ブラシアの半生をモデルに、人種を越えた男同士の友情や共感を描いたドラマ。意外に淡々とした演出ですが、退屈はしません。ただ、話が進むうちに、この強靱な意志を持った男が、観客の重荷になるような気がしました。黒人兵が、あまりにも立派すぎるのです。 従来の根性もの、たとえば「愛と青春の旅立ち」におけるリチャード・ギアの試練などは、甘いものに思われました。教官はもとより、訓練生、自分の在任中は絶対に黒人のダイバーを誕生させない、という将軍など、周囲は敵ばかり。四面楚歌の中ではい上がろうとする黒人兵の姿は、ある意味、壮絶でした。 よくわからないのが、途中から出てくるシャリーズ・セロン。デ・ニーロの奥さん役ですが、なんのための存在か、曖昧でした。7年前の制作ですから、のちのオスカー女優も、こんな使われ方をしていたわけです。 冷戦時代のお話で、ダイバーがソ連の原潜を出し抜いて核弾頭を回収します。事実に基づいているようですから、これ以上の国威発揚はないでしょう。ただ、プロパガンダにしては、ヒステリックな主張を控えた点は評価できます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年05月07日 10時44分17秒
コメント(0) | コメントを書く
[DVD] カテゴリの最新記事
|
|