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テーマ:ヨーロッパ旅行(4174)
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トリノ北西部にヴェナリア・レアーレという街がある。
そこにあるヴェナリア城は、ずーっと前から見たいと思っていたユネスコに世界遺産として指定された城。 この間行ったストゥピニージ宮殿は近いし、いっつも通るところだし、何度も外から堪能しているだけで中を見てみたいとは思っていたけど、まあ、外見は何度も何度も堪能していて、特別そこに行きたいとは思ったことがない。 でもね、ヴェナリアの城は、私がこちらに来たときには既に修復に入っていて、見学できなかった。かつて車で通ったことがあるんだけど、外見も、全部覆われていてほとんど見えなかった。単に、かつてヴェナリア城の庭園の一部だったと言う膨大な膨大なラ・マンドリアという緑の公園に行っただけ。 ラ・マンドリアだけでもかなり大きくて(長さが13kmだったか何か)、その城の巨大さが覗える。 唯一見たことがあったヴェナリア城の写真は、幾つもある建物と建物を繋ぐガッレリアのうちのひとつ。壁画がひとつもなく、全て漆喰で装飾されていた。 その写真が奇麗で、いつかはこの城見てみたい、って思った。 先週の日曜日、やることがなかったので、どこかへ行こうということになった。先日ストゥピニージ宮殿を見学したとき、同じ建築家ユヴァッラの作品と聞くヴェナリア城はそう言えばもうそろそろ修復終わってもいい頃なんじゃないかなぁって思って、夫にヴェナリアの城はまだ開いていないのか? と訊ねてみた。 「どうかなぁ、ああいう修復は時間がかかるから・・・。ラッコニージの城に行くって手もあるけど。あっちなら開いてるだろう?」 ラッコニージの城も、同じくトリノ県にある、前から見たい見たいと思っている城。 どちらに行くべきか・・・。開いているかどうか、まずはインターネットで調べてみた。 ちょろっと見たら、ヴェナリア、なんか、見学できるみたい。まだ修復は終わってないけど。ガイド付きで3ユーロで一部だけ見せてくれるって。 城の見学に3ユーロって言ったら、すっごいちょっとしか見せてくれないんだろうか? でも、興味があるのでヴェナリア城に行く事にした。ラッコニージの方は冬季、一部が開いてないって言うし。 着いてみると、まだかなり修復している状態。 かなりの割合で外壁に脚が組まれていたり、ビニールが被っていたり。 うーん、本当に見学できるのかなぁ? 無駄足だった? と心配になってくる。 でも、「チケット売り場→」という矢印があるくらいだから、見られるんだろう。→を辿ってチケット売り場に入って行き、チケットを買う。 ひとり当たり3ユーロ、名前と住んでいる市を訊ねられた。何でだろうと思ったら、△△市のOOさんに頂いた3ユーロを修復の費用に当てます、と言う紙をくれて納得。しかもその紙がチケット。 ガイドはいるんですか、と訊ねると、「今発ったばかりだから少々お待ちください。ある程度人数がまとまったらガイドが案内しますので」と言われた。 売られている本などを見て少し待っていると、来る、来る。10人くらいの人がすぐに集まった。結構見学に来るものなんだ。 おじいさんガイド、奇麗に整備された庭園に案内してくれる。 行きすがら、この城はユヴァッラとアルフィエーリと、あと誰だったっけ? 忘れちゃったけど、3人の偉大なる建築家によって建てられたんだと説明してくれる。 庭園で先に来ていたらしいもうひとつのグループを見かけた。ガイドのお兄さんが説明しているのが聞こえてくる。 おじいさんガイド、簡単に城の下には地下があって、地下では台所や城全体を暖める大きな暖炉などがある、とだけ説明した後、後は先に来ていたグループに合流して説明を聞いて下さい、と私たちをそこに残していく・・・。 新しいグループを託されたお兄さんガイド、「えーっと、もうかなり聞いてないところがあると思いますが、後で質問があったら訊いてください」と、ガイドを続ける。 しばらく城の全体の流れ、修理の全体の流れの説明。それだけで15分は喋っていた。 その後、城の内部の広場に案内されて、そこから見えるそれぞれの建物の外見についての説明を受ける。 このお兄さん、すっごいすっごい詳しくて、まるで本が丸ごと頭に入っているような感じですっごい詳しく説明。もうちょっとゆっくり喋ってくれると情報が頭の中に入ってくるんだけど、物凄い早口で喋り捲っているものだから、イタリア語が母国語じゃない私なんか多くは聞き流し状態。大体分かっている歴史的内容や建築的内容については頷けるんだけど、例えば全然知らない歴史上の人物の名前を連打されると、もう、ひとりも名前、ちゃんと頭の中に入らない。 例の私が過去に写真で見た通路(ガッレリア)は、修復されている最中。 白い壁に漆喰細工が上品に施されている。ところどころ、ベージュに塗られているところも。これは今後、ユヴァッラの配色である白・ベージュ・水色になるそう。水色も加えられたら、さぞかし上品になるだろうな。 通路の両端にあるドアの下に立たされ、上を見上げるよう言われる。穴がある。 この穴、私たちが行ったのは夕方だったから何も起こらなかったけど、太陽の光がそのドアの前に立った人を照らす照明の役割をするそう。公爵の頭を照らすように(ハゲだったわけじゃないよね?)。 凄い。天然照明だなんて。鈴木その子もビックリ(違うか)。 城の膨大な庭園へと続くドアを開けると、そこには陳腐な建物が沢山あった。 何だろうと思えば、そこは戦時中に軍隊の基地と化していた。膨大な庭園の一部は飛行場となり、軍の建物が建てられた。基地が建てられたのが一部と言うのがまた凄い。庭園の規模がそれだけ凄かったってことで。 ここは全て壊されて、庭園に戻るそう。2008年くらいまでにはすべての工事が終わる予定だそうだけど、まだまだかなり仕事があるよな。 この城の修理には300.000.000だか30.000.000ユーロが当てられているそう。凄い気の遠くなるような金額・・・。 その後、城の中に建てられた教会へ。 ここも修理中。漆喰の白とベージュと水色の色づかいがとっても上品。仕上がったら奇麗だろうな。 次に案内されたのが、城が建てられたばかりの頃の城・庭園・城下町すべてを含めた外観の絵と、17世紀後半フランス軍に城の一部を壊された後付け足した城の完全な形を模型として再現したものが飾ってある部屋。 模型は全て、城と同じ素材を使って造られたものだとか。屋根は瓦、レンガはレンガ。 この模型を作ったおじいさんは、他にもヴァッレ・ダオスタの城の数々をこのように模型で造っている人なんだって。凄い根性だわ、おじいさん。 ガイドのお兄さんは1時間半以上、喋り捲った。 難しい突っ込んだ質問から下らない質問まで丁寧に答えてくれる。しかも即答。 3ユーロだけしか払ってないのにこんな公演並みな詳しい説明をしてもらえただなんて、とってもお得。 もうちょっとゆっくり喋ってくれてたらねぇ。でも、ゆっくり喋ってたら3時間のガイドになっちゃうか。 ほとんどの観光客が、「凄い情熱を持って仕事をしている人だ」「これだけの知識があるだなんてたいしたものだ」と誉めていた。 思うんだけど、この人、絶対大学の史学部でサヴォイア家のことを研究している(いた)人だと思うんだよね。じゃなきゃ、こんな詳しく説明できないよ。しかも、サヴォイア関係の行事は参加しまくっているみたい。 こうやって自分の情熱を仕事に出来るって良いなって思った。 そんなガイドのお兄さんに、他にどの城を観ておいた方が良いかと訊ねると、トリノの王宮やストゥピニージ宮殿などの主な見所は観たと念頭に置いた上で、この辺だとアリエ城が奇麗だということだった。 アリエ城、実はもう観たことがあるんだよね。あそこも素敵な城だった。 ラッコニージも見所。ここも春になったら行かないと。 あとは、クーネオ県のゴヴォーネの城は観ておいた方が良いらしい。 早速ネットで調べたら、この城、アスティ県とクーネオ県の境目辺りにある城。4月から10月までの公開だそう。 ここにも春になったら行かなきゃ。 ちなみにヴェナリア城、2006年修理終了予定。でも、オリンピックには間に合う予定はないそう。 2008年には城の最上階に最高級レストランがオープンするんだって。 最高級なので、私たち庶民じゃ絶対行けないってさ。一体どんな感じで仕上がるのかな?? 興味あるけど、庶民じゃ入れないから見ることさえできないのか。 元々城は庶民が入れるようなところじゃないもんね。今日は観光、という目的で色んな城に入れるけどさ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jan 15, 2005 05:17:33 PM
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