鬼平犯科帳 浮世の顔
鬼平犯科帳 浮世の顔 を、読んだ。 どうした左馬……。 いや、その…… 妙に、胸が重くなってきて……。 うふ、ふふ……。 可笑しいですかな?。 いや、別に…… なあ、佐馬之助。 これが、浮世の仕組みというものなのだよ。 浮世の仕組み、ね……。 人が何か仕出かすことは、 必ず、何らかの結果をまねくことなのだ。 当り前のことだがね。 ははあ……。 その当り前のことを、 人という生きものは、 なかなかに、のみこめぬものなのさ、 このおれもそうだが……。 のみこめていりゃあ、 人の世の苦労もねえわけだが……。 そのかわり、 つまらねえ世の中になってしまうだろうよ。