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井沢元彦の「卑弥呼伝説」(1991)を読み返してみた.ミステリーの筋をいつまでも覚えていては次に読んだとき面白くない.表紙も憶えていないくらい以前に読んだものを取り出してくるわけだが,忘却も才能のうち.
「ヒミコは殺された」という言葉を残して密室で死体が発見された古代史研究家の事件を友人のトレジャーハンター永源寺峻が解き明かす話だが,最終章の大国主命の霊が祭られる出雲大社に関する一節が興味深い.どこかで読んだと思っていて思い出せなかったのだが,ここだった. 「すると、あの社殿というのは、怨霊を封じ込めた......」 「霊魂の牢獄だろうね。それを滅ぼしたアマテラスの子孫が丁重に祭り、なんとか祟りをしないように監視している。日本古来の信仰では、それは善神へと変るからね」 戦死したり刑死したり,恨みを呑んで死んだ人は怨霊になる.それを祭らないわけにはいかない,というのが井沢元彦による日本人の宗教観.放置しておけば自然災害だって引き起こしかねないのだ.このあたりを神社に祭ることと称揚することとを同一視する宗教文化の人たちは理解できないのだろう. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.12.07 20:10:52
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