素浪人ブログ

　植木等さんを偲んでの色々な検証的なテレビ番組がいくつかあった。
　これからも出てくるだろう。
　植木等さんの無責任ぶりは役の上だったと言う。

　真実の植木等さんは責任感の強い人だった。
　あれほどの無責任振りを演じるのは爽快だと思うが、
　植木さんは常に精神的煩悶を得て役になりきったようだ。

　植木さんを論じる時にいくつかのキーワードがある。

　どの番組でも第一のキーワードは父親である。

　浄土真宗の住職であった父親はクリシュチャンでもあったと言う。
　全ての人の社会的平等を訴え部落解放運動で逮捕される。当時の社会で平等を説くことの凄さは、現在的な意識では図りきれない。何せ、人間がすべて平等などの観念があったとは思えない時代である。

　父親が逮捕されると同時に国賊的扱いを受ける。
　その時代は、お上に逆らうと国賊である。
　当然その家庭、また子供への風当たりは強くなる。
　村八分状態になる。
　子供は非常であり悪魔である。
　国賊の子供へは悪魔的に対応する。
　そう、子供は時に悪魔になる。
　現在的に言えばいじめである。

　植木さんの原点には平等を叫び社会正義のために戦う父と共に、
　第二のキーワードは虐めである。

　謂れ無き虐めを受けた苦痛の日々がある。

　神と仏を信じ、弱者救済のために怯む事の無い父親の行動力は、
　植木等の原動力となった。
　あの無責任さが、
　親鸞聖人的であるといった父親は仏のような気がする。

　第三のキーワードは親鸞聖人である。
　つまり仏である。

　植木さんが歌う　　作詞は青島幸雄だ。

　第四のキーワードは青島幸雄である。

　植木等さんの歌は殆ど青島幸雄が作詞した。

　その一つを見てみよう。


　その歌詞は実に妙味があり、
　人を食っているが、
　都会での一人暮らしでは、
　少なからず覚えのあることである。

バーやキャバレーどころか、
喫茶店からは砂糖を食堂からは調味料を、
と言った輩もいたと言うし、
定期券ならまだしも、入場券だけでどこまでも、
目的地までいって駅員の目をくらまして逃げたり、
パチンコ台は何時でも叩きっぱなしと言った、
まさに無責任男は結構いたようであるが、
果たしてどうだったか。

バーやキャバレーじゃ　灰皿盗み
他人残した　ビールは飲むし
焼き鳥食べれば　数ごまかして
そのくせ勘定は人まかせ

みっともないから　およしなさい
もっとでかい事　なぜ出来ぬ
ショボクレた事　すんなこの野郎

借りた定期券で　ビクビク乗って
隣の新聞　横からのぞき
混むのを幸い　女の娘にさわり
他人のズボンで　靴磨く

みっともないから　およしなさい
もっとでかい事　なぜ出来ぬ
ショボクレた事　すんなこの野郎

会社終われば　パチンコ通い
血走りまなこで　落ちてる玉ひろい
入りもしないのに　“オーイ出ないぞ”
怒鳴る声だけ　一人前

みっともないから　およしなさい
もっとでかい事　なぜ出来ぬ
ショボクレた事　すんなこの野郎