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カテゴリ:事件簿
 日本の田舎でアメリカ社会を憂い、日本有数の過疎地でアメリカ社会の不思議を考える。大袈裟な書き出しは、アメリカで起きた88歳の老人の狂気のニュースに驚いたからである。

 アメリカは移民国家であり多民族国家であり、色々な思想や宗教が混在する自由な国である。自由こそがアメリカであり、何が起きても驚かない国がアメリカと定義し無ければ、説明のつかない事件である。


 88歳の男が銃を持って、ワシントンのホロコースト博物館に侵入した。警備員に発砲し、警備員は搬送先の病院で死亡が確認された。本人も別の警備員に打たれて重症だと言う。まさに、老いた戦士である。


 ホロコースト博物館だから、老戦士はユダヤ人か、ナチの信奉者か、ナチの生き残りか、と予想するが、88歳の男は白人至上主義者だった。老人は南北戦争で黒人奴隷制を支持した南軍の帽子をかぶっていたという。


 老人のウェブサイトでは、ナチスのユダヤ人虐殺はなかった主張していると言う。ホロコーストはユダヤの陰謀であり、作り事だと主張する、妄信的なホロコースト否定論者である。88歳の老戦士には前科があった。1981年にはワシントンの米連邦準備制度理事会(FRB)ビルに銃を持って侵入したのだ。白人至上主義者として有名だと言う。それにしても、驚異的な行動力の88歳の戦士である。


 オバマ大統領がホロコーストの現場を訪問したのは何日か前である。労戦死の目的はその大統領の行動への抗議と思われるが、職務に忠実だった警備員射殺は許し難い。オバマ大統領も悲しんでいると報道官は発表したという。関係ない警備員への発砲は、狂気以外には何もない。主義も主張も消え、単なる老いた犯罪者でしかない。


 銃社会は誰でもヒーローにも凶悪犯にもなれる。アメリカは多民族国家であり、多くの宗教が混在する自由と平等の国である。どんな人がいてもおかしくなく、どんな人でも認められる社会である。だからアメリカであるが、主義主張宗教の為に他の人を殺すことは許されない。自由と平等を否定する最大の敵であり最大の罪である。





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最終更新日  2009.06.11 10:04:42
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