国語のテキスト
授業の準備をしていたら、manaviの教室に二人のお客様が。6年前に塾長の当時の教室で勉強して卒業した元生徒さんが、大学の進学先が決まったとの報告で訪れてくれたのでした。二人とも、なつかしそうに当時の話をしていました。塾長もうれしそうです。春休みには、春期集中講座が始まりますね。今、新4年生のテキストを作成しています。一般的な塾用教材のテキストは、文章が短い(が語彙が難しめ)、設問は選択式と抜き出し中心、特にこの傾向は4年生用のテキストに顕著です。私はせっかく、3年間の準備をしていこうという生徒さんに、この形式ばかりでは、もったいないと考えています。特に集中講座のように連続的に授業を行えるときには。・物語を一部分だけではなく、最初から最後まで読解して、全体の構成や細部の表現について 丁寧に読み解いていく授業をする。 1ページ程だけを切り取られた文章から、その人の性格や行動の特徴を読み取れるようになる のには、その前にじっくりと深く作品を読み込んだ経験があってこそ。 また、「長い文章」だと集中力が切れやすい生徒さんにもよい練習にもなります。 心情の変化が言動にどう表れていくのか、主人公以外はそれをどう受け止めたのか、 この「光」は、どのような心情を伝える効果があるのか、など。 ・授業内で取り組み設問は、記述問題を多く。 本来、「自分で考えて、適切に説明する力をつけること」を国語の学習で目指すべきですよね。 抜き出し問題や選択問題というのは、生徒の「全力で考える」意識を鈍らせます。 記号から選ぶとなると、最悪、文章を読みもしないで解答欄を埋めることが可能です。 迷ったら勘に頼ることもあります。 記号問題が多いと、授業はやりやすいのです。 答え合わせがラクです。 以前塾長や私がいた塾でもそうですが、たくさんの教室を運営していくとなると ある程度授業のカリキュラムをそろえる必要があります。 また、力量のある講師から6年生のハイレベルクラスを担当していき、 中学年やそう高いレベルではないクラスだと、一流の講師に担当してもらうことは 現実として難しくなります。 講師による指導のムラが記号問題や抜き出し問題だと表面化しにくい。 ということで、国語の教材においては、記号問題・抜き出し問題が多い方が都合がいい。 しかし、生徒の力を伸ばすということを軸に置くと、 やはりここは、記述問題にこだわりたいですね。 まず、記号から選ぶのではないから、安易に答えを書けない。 ↓ 文章からヒントを探そうと集中して読む必要がある。 ↓ 答えを自分なりに書く。 ↓ 授業で、解説を聞き、自分の答えは何が足りないのか、どこは良かったのか、 自分でも理解しやすい。 (記号だと、正解か不正解かという部分に目がいきがち。) ↓ 部分的にいいところを確認してあげられるので、「△」はつくが、白紙でないかぎり「×」にも なりにくい。 ↓ 書き直していく過程で、説明するのに必要な情報、削除してよい情報の見分けができる ようになっていく。 ↓ この感覚は、説明文や論説文の読解にも役に立つ。受験まで、時間があるからこそ、こってりがっつり記述問題に取り組んでいきます。ちなみに、言葉の知識のページについても作成中です。市販のテキストって、さらっとした導入の後に、いきなり練習問題になっていますよね。「慣用句」だと、「体の一部を使った慣用句の例」とか10個ぐらい並んでいて、その後30問ぐらい問題があるんだけど、知らなきゃ解けるわけないよ―って感じの。結局、横から大人が説明しながら埋めさせていくような感じになりますよね。きちんと、「これらを今、覚えましょう」と30個なら30個、きちんと意味や使い方までまとめたページを作成し、それを覚えたら全問正解できる練習問題のページと、交互にして、きちんと知識を積み重ねていくようにしています。このようなテキストの見直しは、ずっと6年生を担当している講師ではできないと思います。ずっと一定のレベルの生徒ばかりを担当していてもできないと思います。教室責任者をしていた時期に、全学年全レベルの国語の授業担当をしてきたからこそ、必要なステップと時期を割り出せるようになったのだと思います。大学でも、私は基本的に担当する講座は自分でテキストを作成しているのですが、小論文講座や文章能力養成講座や基礎国語講座のテキスト、中には120ページぐらいあるのもあるのですが、これがなかなか好評なんです。講座を受けていない学生が、受講している学生に勧められてテキストだけ購入していることもあるそうで、受講人数よりもテキスト販売数が多いということもあります。一部の学科のみで開講されていた講座が、来年度から全学部全学科で授業することになりました。(さすがにコマ数が多いので複数の講師で担当となりますが。)きちんと学力を伸ばすという視点で、学生に合わせて、素材を厳選し、ぴたっとくる解説をつけて、必要なものを必要な形で提供していくことは続けていきたいと思っています。