チェイサー
『マルタのやさしい刺繍』をDVDで見た日の午後、映画館へ行きました。同居人とお休みが一致したため。直前まで行くかどうか迷いに迷い、『サブウェイ123激突』を見るか韓国映画『チェイサー』を見るかでまた悩み、サブウェイを上映中の映画館にもうすぐ着くという処、一つ手前の交差点を急遽左折、私の「やっぱり韓国映画を見てみたーい」の一言で決定。すごい!!!『チェイサー』に変更して大正解。今まで見たことのない映画でした。韓国映画をただの一度も見たことなく、中年女性がはまるテレビドラマさえ見たことなく、英語やフランス語は何となく読めて、中国語は音はわからなくとも意味はわかる気がする、が、ハングル文字は見たことはあっても、どんなふうに発音するか、意味もわからない未知の世界。ほんとに日本に一番近くて、未だかつて関心を持たなかった遠い国。ナ・ホンジン監督・脚本、これがこの監督が初めて撮った長編映画とは!あふれ出る才能に先が楽しみ。私が今年見た映画の中で断トツの一位です。(たくさん見ているかのような気がするが、実はたいして見てないんですが、、、。)最近、ケビン・コスナーが殺人鬼を演じる『Mr.ブルックス』という映画をDVDで見たばかりだったが、昔からケビン・コスナーの大ファンで、こんな冷酷非情の役をはまって演じていたが、何分にも、家のテレビ画面で見てるだけなので、とてもとても『チェイサー』には比べものにならない。追いかける側のジュンホ(キム・ユンソク)と追いかけられるヨンミン(ハ・ジョンウ)との対決。ジュンホもまた韓国の社会にあって闇の世界で生きる人間、にもかかわらず、ジュンホの怒りは頂点に達する。ヨンミン、ごく普通の人間の皮を被った化け物。動機も理由も原因も結果も何も説明しない。言葉は少ない。韓国の警察組織、そこだけが映画の緊迫感から、すっと抜けてとっても間がぬけているように描かれている。これも演出か。このリアリティはいったい何なのだろう。同じアジア人の作った映画だからか。同じアジア人が演じているからか。実際にあった事件を下敷きにしているからか。銃もナイフもないというのに、目を覆うような残虐な殺人シーン、生身の人間、追う男と追われる男、ほとんど死んでいると思われた、社会の底辺で 生活の糧を得ているシングルマザーのミジン(ソ・ヨンヒ)が 最後の力を振り絞って逃げ出した先で待っていた運命は、、、、。あらゆる映画を映画館で見ることはできないので、この映画を映画館で見ることができとてもラッキーだった。たまたま、新しい公開作品が一本もなく、これだけ(new)と印がついていて、DVDがもう来月には出るらしいので、おそらく再上映だったのではないか。いつも頼りにしている人気の映画ブログで★5だったものだから。出不精の同居人を早くも次の映画を見る気満々にさせてくれた映画。