一足早い芸術の秋
今日は昼間にウッドワン美術館所蔵の『巨匠たちの饗宴』展をお友達と見にでかけました。夜はフラメンコに酔いしれて、一足早く秋の夜長を楽しんだのでした。本日の絵はどの画家もどの画家も聞いたことのある名前ばかり、日本人の近代絵画の数々は、美術の教科書に載っていたり、切手になっていたり、初めて見たとは思えない、親しみを感じる絵ばかりでした。特に岸田劉生の『麗子像』はあまりに有名で、一度は見てみたい絵でしたが、間近で見て、毛糸の編み物のケープの質感が表されていて驚かされました。かと言って写真による写実とは違う何かを感じました。画家のモデル(娘)に対する温かいまなざしでしょうか。また、岡鹿之助の『古跡』という絵は、フランスのお城がやわらかな色合いで描かれているのですが、山の上にある古城、周囲はぶどう畑が広がっているように見え、まさにフランスのアルザス地方のお城を彷彿とさせる絵で、とっても気に入ってしまいました。思い出に絵葉書を買い求めようと思いましたが、残念ながら、その絵の絵葉書は見当たりませんでした。佐伯祐三の絵は油絵具を何回も重ね塗りしていて、重厚感と色の組み合わせはシックでパリの建物が思い出されます。佐伯祐三 「パリの裏街」そうした洋画群と共に、日本画も豊富で、そのまま着物の柄にできそうなぼかしの入ったきれいな色彩の、小野竹喬の『夕空』。上村松園や鏑木清方の着物姿の女性像にはうっとりしてしまいます。竹内栖鳳の『秋画』は雀がチュンチュンとさえずっているのが聞こえてくるようで、それでいて、画面の余白はたっぷりとあるのです。横山大観の『月』はタイトルにある月がぱっと目に入ってくるのではなく、迫力ある険しい山々と雲の波間に、ひっそりと描かれているのには、意外な感じがしました。これが日本画の特質なのかしら。小出樽重の『少女お梅の像』は小間使いの娘が絵に描いてもらうので、緊張して畏まって坐っているのが、何とも可愛らしい。異色なのは鴨居玲の『サイコロ』、画面が赤と黒で構成され、人物が何だか怪しい雰囲気で、日本人の描いた絵とは思えないような不思議な絵でした。上村松園の日本画は『舞仕度』は二面対になっている大きな絵で、優しい色合いのきれいな絵でした。上村松園 「舞仕度」左上村松園 「舞仕度」右夜は娘とお出かけです。フラメンコのダンスにどっぷりと浸りました。スペイン料理のレストランの3周年記念のイベントです。フラメンコを踊るためにこの人は生まれてきた、という、強い信念のようなものを感じました。お顔もきれい、抜群のスタイル、巧みな腕の動き、何といってもそのダンサーの足は力強く速くリズムを刻み床の振動がじんじんとこちらにも伝わってきます。歌い手はダンスを良く引き立てる声質、自身もフラメンコの踊る方で、ダンサーの気持ちがわかるということで、息がぴったり、ギターも抜群のテクニック、それもそのはず津軽三味線の名手でもあるそうで、三拍子揃うとはこのことですね。あっという間の1時間半でした。