
ここのところ忙しいのですが、以前から気になっていたので観てきました。
休日出勤の後のレイトショー鑑賞です。
アカデミー賞6部門ノミネート、3部門を受賞した映画です。

1944年のスペイン。内戦でフランコ軍が勝利したといえ、まだ各地で反フランコのゲリラが活動している時代。
ゲリラ掃討作戦を行っている山中のフランコ軍の拠点(元製粉所)に身重の母と一緒に童話が好きな少女、オフィリアがやってくる。母親の再婚相手である指揮官のビダル大尉が母娘を呼び寄せたのだ。
オフィリアは跡継ぎが欲しいだけのビダル大尉を父とは呼べず、環境にも馴染めずにいた。小間使いのメルセデスだけがオフィリアに優しくしてくれるが、メルセデスと母親の主治医はゲリラの協力者であった。
到着した日の晩、オフィリアは妖精に出会い、建物の近くにある古い迷路に案内される。そこで出会った牧神パンは、オフィリアが地底にある魔法の王国のプリンセス・モアナであると語る。昔、モアナは地上に憧れて外に出るが、太陽の光を浴びて記憶を失い、肉体は朽ち果ててしまう。そして今、モアナの魂はオフィリアとして転生したのだと。
パンはオフィリアに次の満月までに3つの試練をクリアするように告げる。
オフィリアは試練に挑戦してゆく。
ダーク・ファンタジーということで結構シビアなお話です。普通のファンタジーを期待すると…重いです。
また、妖精や牧神パンの造形もどちらかというと不気味さがあります。
描写なんかもPG-12になっているのでちょっとグロめな部分も?
ファンタジーのストーリーとゲリラ対フランコ軍部隊の戦いのストーリーが並行して進行します。
このファンタジーのストーリーはオフィリアが一人の時にだけ展開します。これは現実なのか?環境に馴染めないオフィリアの現実逃避?ともとれなくはないです。
マンドラゴラの根で母親が回復したり、容態が悪化したりするところは偶然?魔法?
この辺は観る人の解釈でしょう。
第2の試練でオフィリアが禁を破ってしまうのは割りとお約束な展開。映像だけ見てると何で食べちゃったの?という感じでしたが、ここは童話風の文章にすると「とてもいい香りがして、ものすごくおいしそうだったので思わず食べてしまったのです」といったところでしょうか。
怪物のブービー・トラップか?
母親の「一人だと厳しい」「現実を見て」という台詞も重いです。国内では内戦、国外は第二次世界大戦という時代。
オフィリアは自分の母親が「生きるため」に政権側の軍人に取り入るようなことをするような人ではないと信じたかったのかも知れません。
メルセデス。なんだかんだ言っても、強い女性です。
そして、ラスト。
これがハッピーエンドかは人によって意見が分かれるでしょうね。
でも、フランコ政権がこのあと30年続くことを考えると…
観終わった後、以前に読んだ岩波文庫版「グリム昔話集」全5巻やケルト民話集などを思い出しました。
結構ダークな話もあるので。
(「本当は怖い~」が出る数年前に読んでました。20年くらい前。)
戦争が絡むような話だとこんな感じの話が結構あったような記憶があります。
自分としては結構好きな世界でしたので、楽しめました。
好みは分かれるかもしれませんが、お勧めの映画です。